徐々に増殖していったカピバラたち
まず2009年ドラフト1位で入団した今村が「カピバラに似ている」と言われ始め、11年には今村とカピバラが向かい合わせで、「世界には自分とウリふたつの人間が3人いるという」という文字が書かれた公式Tシャツが発売された。その時には「カピバラは人じゃないし、しかも3人もいるわけないし」と思っていたものだが、2年後にその謎は解決する。
2013年10月にドラフト1位で大瀬良が入団すると、「今村と顔が似ている」「カピバラだ」と話題となり、さらに2014年1月、一岡が大竹寛の人的補償として巨人から移籍してきた際に「大瀬良と似ている」「カピバラだ」と話題を呼んだ。すなわち、「カピバラに似ている今村に似ている大瀬良に似ている一岡」という絶妙な相関性が「カピバラ3兄弟」という言葉を生み出したのだ。
2014年シーズンには「カピバラ3兄弟」はすっかり定着し、3匹のカピバラが描かれた「チームカピバラTシャツ」が発売されたり、長崎バイオパークのカピバラのキャラクター「カピタン」がマツダスタジアムへ応援に訪れたりと、まさにカピバラ一色であった。
その後、一岡が今村から「全然カピバラに似ていない」と“カピバラ戦力外通告”を受けたという情報が選手名鑑に掲載されるなど、若干不穏な空気も漂ったものの、昨年度には3人揃って中国電力のCMに出演し、カピバラの和名である「鬼天竺鼠」にちなんだ「鬼天竺ポイント」の宣伝のため、揃って小首をかしげていた。「カピバラ3兄弟」は根強い人気を誇っているのである。
だから余計に、ペットボトルキャップの大瀬良コアラが不思議に見えてくる。もしかすると、我々が先入観で「カピバラに似ている」と思ってしまっているだけで、本当はコアラの方が似ているのだろうか。
3選手が似ているのはカピバラではなくコアラだったのかという問題を解消するための一つの目安として、頭から顎までの長さを1とした場合の「目と目の間/目から口の間」の比率を出してみる。カピバラに似ている顔というのは、すなわち目と目の間が比較的広く、口元までがぬーんとした感じの顔ではないかと思うからである。すると、カピバラ「0.52/0.61」コアラ「0.52/0.29」今村「0.27/0.30」大瀬良「0.27/0.28」一岡「0.28/0.27」となった。数値だけを見れば、コアラの方が近いようにも思える。