カープ・中神拓都選手。

 高校の頃は投手と野手の二刀流。走攻守三拍子そろった選手として期待を集めていた中神拓都だが、“00世代”で、いまだ一軍切符を得られていない。その悔しさは誰よりも本人が痛感している。

「同年代の選手が一軍で活躍している姿をテレビで見ると、当然悔しい気持ちになりますし、早くその舞台に立たないといけない危機感も溢れてきます」

 一軍昇格に向けて中神が意識して取り組んでいるのは甘い球を一発で仕留める正確な打撃。プロ生活の中で、チャンスは数多く巡ってこないことを分かっているからこその意識とも言える。

「試合では1球チャンスボールが来るかどうかという意識でいます。それくらい少ないチャンスを必死になってものにしていかないといけない立場なので、普段の打撃練習から試合を意識して取り組むようにしています。試合では結果を求めてしまうがあまり、力が入り過ぎて、体ごとバットを振ってしまうことがあるので、練習では、コンパクトなスイングかつ良い軌道でバットを出せるように心がけています」

 野球に対する前向きな姿勢は入団当初から何ら変わりはない。貪欲に練習に取り組み、全体練習では誰よりも大きな声をあげ、チームを鼓舞する。

「二軍で切磋琢磨してきた選手が、お前も早く一軍に上がってこいよと言ってくれるので、それは刺激になっていますし、頑張る源にもなっています」

 打撃で存在感を見せれば、一軍昇格への道は自然と見えてくる。小園海斗、林晃汰、羽月隆太郎、そして中神。カープで出会った00世代の4人の野手が、同時にマツダスタジアムのグラウンドに立つ日もそう遠くはないはずだ。