巻き返しを図る後半戦に向けて、エキシビジョンマッチを戦うカープ。若手投手の成長が目立つ投手陣について、カープOBの大野豊氏に聞いた。

後半戦、リリーフとして期待がかかるフランスア投手。

◆巻き返しには連勝が必要。良い流れを呼び込めるか

 シーズン前半戦を見て感じた課題は、先発・リリーフ問わず、イニングの先頭打者の入り方が悪い点です。先頭打者に簡単に四球を出したり、安打を打たれたりすると、自分のピッチングを崩してしまうだけに、先頭からどれだけしっかり投げていけるかが大切だと思います。

 そのためには、やはり自分の持ち球をしっかり投げられるようにしないといけません。自分の納得のいく球を数多く投げることができるかが、安定感のある投球を生む要素の一つだと思いますね。五輪による中断期間は、各選手が各々の課題を見つけて取り組むと思いますが、納得のいく球を投げることができない原因は何なのかをしっかり把握した上で調整してほしいと思います。

 前半戦が終わり借金は12。一人の投手だけが頑張ってなんとかなる数字ではありません。借金を返して巻き返しを図るには、連勝していくしか方法はありません。なので、3連戦の初戦に先発する投手から、良い流れで次へ次へとつなげていくことが必要です。野手にも言えることですが、連勝するには全員が役割を全うするしかありません。

 リリーフ陣に目を移すと、昨年クローザーとして活躍したフランスアが一軍に戻ってきました。彼の復帰は非常に大きいと思います。経験があるだけに、登板を重ねるうちに一軍の試合にも適応してくるのではないでしょうか。フランスアがリリーフに戻ってきたことで、コルニエル、栗林良吏の3人で勝ち試合の継投を安定して担えるようになれば、もっと試合にも良いリズムが生まれるような気がします。

 そう考えられるのも栗林の出来が素晴らしいからこそです。シーズンも数カ月が過ぎ、少しずつ疲れが出てくる時期かもしれませんが、彼の場合は、決して状態が良くなくても、抑える術、そして心の強さを持っています。それが前半戦の栗林の成績に現れていると思います。東京五輪の代表にも選ばれたことで、疲労の面では大変な部分もあるかもしれませんが、シーズン終了までクローザーとして投げてもらいたいですね。