チーム全体が新型コロナウイルス禍に襲われた5月中旬。一軍に離脱者が出たことで白羽の矢が立った林晃汰は、巡ってきたチャンスをつかみ取った。首脳陣を納得させる成績を残し一軍に定着。覚醒の時を迎えつつある近未来の4番候補の思いに迫る。

今季、一軍に定着し活躍を続ける林晃汰選手。

◆もがき、つかんだ未来。自信を持って一軍の舞台へ

─今シーズン開幕当初は、二軍で結果が残せず、苦しい時間が続いたのではないかと思います。ただ、4月下旬から一気に数字が伸びてきました。何がきっかけで状態が上向いていったのでしょうか?

「春先は打率が1割台だったので、これだと二軍の試合にも出場することができませんでした。試合に出るにはとにかく打つしかないので、自主トレや春季キャンプでやってきたことを振り返りながら、必死にバットを振り続けました。何が良くて何が悪いのかを、しっかりと意識して練習に取り組むうちに、次第に打率も上がっていき、5月には2割台中盤まで戻すことができました」

─新型コロナウイルスの影響で一軍の選手が数多く離脱した5月18日。急遽ではあるものの、今季初めて一軍に昇格しました。この時も状態としては良かったということでしょうか?

「そうですね。打撃に関しては、しっかりとした考えが出来ていたので、ある程度自信を持って一軍に合流しました」

─5月18日の巨人戦(東京ドーム)、昇格即スタメンとなる、7番サードで起用されると、2安打を放ちプロ初打点も記録。今季初の一軍の試合で良い結果が出ただけに自信も深まったのでは?

「第1打席は凡退しましたが、続く5回1死一、三塁のチャンスの場面で、しっかりと安打を打てたので、あの一打で気持ちがラクになりました」

─そこから林選手の快進撃が始まり、5月29日のロッテ戦(ZOZOマリン)でプロ初本塁打を放つと、6月に入っても勢いが止まらず、6月月間で打率・344、2本塁打、17打点を記録。これだけの数字を見ると、一軍で何かつかんだものがあるのではないでしょうか?

「ちょくちょく打てなくなる時があったのですが、そこですぐに修正できるようになったのは成長した部分かなと思います。状態が悪い時に『こういう風に直せば大丈夫なんだ』と立ち戻れる場所を自分の中で持つことができたので、良い成績につながったのかなと思いますね」

─具体的にどういった部分を修正されるのでしょうか?

「基本に戻って考えることがほとんどです。例えば、昨年までは打球を飛ばすイメージを〝上へ〟という意識でいましたが、今季は〝下へ〟という意識に変えました。もともと上に打ちたいタイプの打者なので力みを和らげるという意味でも下への意識を持つようにしました。そういったことも含めて、今年二軍で結果が出なかった時期にコツコツ取り組んできたものが、自分の打撃を支える土台としてできてきたのだと思います」