8月18日、昨季限りでカープを退団したクリス・ジョンソンが、現役引退を決断したと球団から発表があった。ジョンソンは2015年にカープに加入。2016年には沢村賞に輝くなど、在籍した6年間で57勝をあげ、リーグ3連覇にも大きく貢献した。

 ここでは、数々の実績を残したジョンソンが紡いだ言葉を取り上げる。今回は来日1年目の夏。開幕以降、順調に勝ち星を重ねるジョンソンが、本誌に話した意気込みを独占インタビューをもとに振り返る。(『広島アスリートマガジン』2015年7月号掲載)

昨年現役を引退した石原慶幸氏と数多くバッテリーを組み、数多くの勝利に貢献した。

◆投球の組み立ては米国時代と変わらない

―(2015年の)開幕からここまでのご自身の投球は、どう評価されていますか?

「順調だと思います。もちろん登板するなかで、うまくいかない試合もありますが、それ以外の部分は自分が思っている以上に良い形で進んでいるというのが正直な感想です。アメリカでも日本でも野球をするという点では一緒ですが、日本にきて、日本の生活のなかでアジャストをしていくために、いろいろと努力をしてきました。そうした順応についても自分が思っている以上に順調に進んでいます」

―順調に進んでいる要因としてはどのようなことが挙げられるでしょうか?

「3月27日に開幕してからは私の登板ではずっと石原(慶幸)がマスクを被っていますが、彼と相性が合っていると思います。自分が投げたい球のサインを出してくれますし、投球に対する考えが非常に似ているのだと思います。私なりの表現を使うなら、〝同じページの上にいる〟という感覚を持っています。同じ舞台で、同じ次元で呼吸を合わせながら戦えていると思います」

―投球を行うなかで、日本の打者に有効な球はありましたか?

「ひとつだけをあげるのは難しいですね。これまで対峙してきた打者も多種多様でいろいろなスタイルの打者がいますから、自分が持っている自信のある球を一人ひとりに対し投げ込んでいます。絶対的に信頼を持っている球があるというわけではありません。日本人の打者はレベルの高い能力を持っていると思いますし、特に球をバットで捉えてフィールドのなかに打ち込む、球をコンタクトするという技術はすごく高いと思います。そういった意味でも試合のなかでその状況に応じて自分が持っている4種類の球を織り交ぜながら投げ分けていく、というのが自分の投球スタイルだと思っています」

―ここまで対戦してきたなかで印象的なバッター、打線はありましたか?

「山田(哲人・ヤクルト)、福田(永将・中日)、そし平田(良介・中日)です。この3名の打者に対しては失投をしてしまうと、痛打を浴びる印象があります。それから打線を挙げると阪神ですね。阪神の打線は技術のある選手が揃っているだけにかなり厚みを感じます。一時不調に陥っていたようですが、彼ら本来のバッティングを取り戻し、うまく機能し始めたら、さらに手強い打線になると思います」

―配球面で米国時代と変化した点はありますか?

「球種は4種類を常に投げていますし、それはアメリカのときとあまり変わりはありません。組み立てという部分も基本的には同じだと思いますが、アメリカにいたときの方が真っすぐを若干多く投げていた気がします。日本の方が変化球を織り交ぜることが多くなっているかもしれません。球を動かすのが僕の投球スタイルなので、カットボールとツーシームを使って、しっかりと両コーナーに投げ分けを行っていくという投球の組み立ては以前から変わりません」