後半戦、プロ7年目の野間峻祥の活躍が目立っている。野間が安定した活躍をみせている理由はなにか、カープOBの笘篠賢治氏に聞いた。

後半戦、1番での起用が予想される野間峻祥選手。

◆チーム浮上のキーパーソンは野間

 東京五輪による中断期間に行われたエキシビションマッチは、勝ち星こそ伸びませんでしたが(3勝5敗1分)、後半戦、どう巻き返していくかを見据え、得点力向上につながる選手起用をしていたと思います。

 その一つが野間峻祥の1番起用です。エキシビションマッチ9試合を通して、野間の調子は非常に良かったですし、首脳陣もこの状態であれば後半戦も起用したいと思ったはずです。

 野間の状態が良くなった理由は打撃フォームの安定にあります。逆方向に強い打球を放つことを意識すると、構えてから打ちにいくまで、どうしても体重を軸足のある後ろに残したがるものなのですが、今の野間は、自然体でまっすぐ構えて立っています。その状態から繰り出すスイングがバランスが取れていて非常に良い。球を上から叩きすぎないスイングで、腕の使い方も上手い。たとえ安打が出なくても、フォームとスイングに乱れがないので、安定して結果を残せるのだと思います。

 そして、野間がセンターに定着することでチームの守備力も向上します。良い状態が続くようであれば、後半戦は足も使える野間を上位打線に起用するのではないでしょうか。野間が1番で機能し、菊池涼介と小園海斗を絡めた上位打線につながりが出てくると、キーマンとなるのは4番の鈴木誠也です。7月に入り5本塁打を放つなど、東京五輪前から打撃の状態が上がっており、東京五輪も苦しんだとはいえ本塁打を放つなど日本代表の4番として金メダル獲得に貢献しました。

 やはり長打を打てる打者が中軸にいるのといないのでは、相手投手に与えるプレッシャーが違います。カープの場合、そこに足をどう絡めていくかもポイントとなります。野間をはじめ、走れる選手が持ち味を発揮し、常に先の塁を狙う隙のない走塁を見せてくれないと得点力は上がってこないと思います。また、鈴木と共に後半戦のキーマンとして考えているのは西川龍馬です。長打も打てるだけに、西川の状態が上がってくれば、打線にももっと厚みが出てくるように思います。