主力としてペナント独走に貢献

 一度、加速した勢いはその後も変わることなく継続した。交流戦期間中には規定打席到達者の中でリーグ最高の打率(.344)をマークし、監督推薦で初めてオールスターゲームにも出場。シーズン序盤は主に6番での出場だったが、前半戦終了の時点ですでにチームの主力として欠かせぬ存在となっていた。

「(対オリックス初戦で初の規定打席に到達したことに関しては)目標にしていた部分があったのでうれしいですし、やっぱり試合に出続けないと規定打席というのはないことですからね。でも、結果が出ていないとスタメンから外されてしまいます。周りにも良い選手がたくさんいますし、まだレギュラーだと思っていません。これからが本当の勝負だと思います。まだまだレギュラー争いは続くと思うので、そういった面では規定打席に到達するということには、こだわっていきたいです」

 1番〜3番の“タナキクマル”が完全に固定化され、その後を受け持つ新井、エルドレッド、鈴木らも主軸としての役割を全うした。下位打線も含めた全選手が機能することで、前年得点力不足に陥った打線は、つなぎの意識で強力打線へと変貌を遂げた。その結果「逆転のカープ」という言葉も生まれ、それまでの低迷期が嘘のように貯金を積み上げていった。鬼門と言われた交流戦も3位で完遂。セ・リーグ唯一の勝ち越しに成功し、チームは2位以下を大きく引き離す独走態勢を築き上げ、25年ぶりの悲願へと突き進んでいく。

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