2017年、練習中に新井貴浩選手と会話する鈴木誠也選手。

4番打者として葛藤の日々

 新井貴浩との4番併用が数試合ほど続いたのち、4月25日以降は4番に定着。当初はそれほど重圧を感じることはなかったが、5月突入と同時に試練を味わうことになる。ゴールデンウイークに行われた甲子園での阪神3連戦。終盤の逆転劇で初戦を落とすと、2戦目も9点差を跳ね返され、まさかの大逆転負け。3戦目も6対0の完封負けと失速し、チームとして2年ぶりの同一カード3連敗を喫してしまった。

「大事な場面で打席が回ってきて、打てずに負けた試合が何度も重なってくると、『キツいな』とか『4番って難しいな』と思ってきて、少しずつ怖さも出てきたり……今までにない感覚があります。4番に入ってチームの勝利、責任ということが自分に伸し掛かってきて、なかなか思うような結果が残せなくなってきたと思います。その状況で試合に負けたりしていると『やっぱり昨季だけか』という声も聞こえてきたり、チームの勝利への責任、どちらも自分に重なってくる感覚があります」

 屈辱的な3連敗を乗り越え、チームは5月21日を境に再び上昇気流に乗った。“逆転負けのカープ”を脱し、直後の28日には阪神から首位の座を奪い返した。それでも4番を打ち続けていた前半戦の鈴木の心中は穏やかなものではなかった。

「『結果も出したいし、チームの勝利にも貢献したい。自分が打たなくても1点入れたい。でもそれでは自分の成績が落ちてしまう』。そんな風にいろんな事を思いながら『どっちを取ったら良いのか?』と考えてしまいますし……難しいですね。つなぐ意識は常に持っていますが、4番に入るとどうしても『自分が決めなきゃ』という思いが自然と出てきてしまいます。そう思うことで、今まで捉えられていた球が捉えられなくなったりすることもありまね。そういうことの繰り返しなので『何でだろうな?』と思いながらやっている感じもあります」

 6月14日のオリックス戦では、1年前の『神ってる』活躍を思わせるようなサヨナラ本塁打も放った。前半戦を終えた時点では打率、本塁打、打点の打撃主要3部門で、いずれもリーグ上位の成績も残していた。チームの貯金も23。若き4番打者として十分な結果を残しているようにも見えるが、それでも葛藤の真っただ中にいるというのが実に鈴木らしい。

「打点に関しては良い数字が残こせているのではないかと思います。打点は4番が稼がなきゃいけない部分だと思いますからね。ただ、得点圏打率(7月13日現在.275)が低いことに全く納得していませんね……。成績、数字ではあまり左右されないので、自分が残す数字よりも、自分の技術ですね。今はそれが良くないという感覚が強いです。数字が残っても、自分の感覚が良くないと満足できないですから。まだまだですね」