9月10日現在、セ・リーグトップの打率.325をマークし、カープ打線に欠かせない存在となっている坂倉将吾。プロ5年目を迎える今季、交流戦から5番に定着し、守っては捕手を中心に一塁も守っている。安定した打撃を展開しながら試合出場を続けると、9月8日には初の規定打席に到達し、打率トップに躍り出た。

 ここでは、坂倉のプロ入り後の軌跡を「広島アスリートマガジン」の過去インタビューを元に改めて振り返る。今回は2017年のルーキー時代、シーズン序盤に聞いたインタビューをお届けする。

プロ1年目の2017年、二軍戦でプレーする坂倉将吾選手

◆試合経験の中で得た成長

―― 高卒ルーキーながら、二軍で試合出場を続けている坂倉選手ですが、ここまでの手応えはいかがですか?

「最初は打率3割をマークしていたんですが、途中で2割台に落ちてしまうこともありました。ただ残している数字は決して悪いものではないと思いますし、難しさを感じている中でもある程度結果を残せているという点には手応えを感じています」

―― 試合出場を続ける中で新たな発見などはありましたか?

「試合出場を通して、どんどん自分に足りない所が見えてきています。充実した毎日を過ごしていることに間違いありませんが、新しい課題が次々に見つかっている状況です。ただ、それも試合に出させてもらっているからこそだと思っているので、本当に1年目から貴重な経験が出来ているのだと思います」

―― 具体的にどういったところが足りないと感じているのですか?

「最初は、自分の思い通りに体を動かせていましたが、5月に入り、自分で分かるぐらい疲れが出てきています。そうした疲れを感じる中でも試合に出れば体を動かさなければいけません。バットを振る、キャッチャーとしての練習をするという事以前に、高いパフォーマンスを維持するための準備運動や、ストレッチを怠ってはいけないということを強く感じています」

―― 試合に出場すると、プロではさまざまなタイプ、年齢の投手とバッテリーを組む事になります。その点について難しさは感じませんか?

「いろんなタイプの投手に合わせていくという事については、そこまで苦戦していません。ただ年齢が離れている方には自分の意見を強く言えない場面が正直あります。それは決して自分が正しいという意味ではなく、ベテランの方は投球についてすごく考えを巡らせていらっしゃいます。まだ自分がそのレベルに至っていないと分かっているからこそ、先輩投手になかなか自分の意見を言えないんです。そういうレベルに早く追いつかなければいけないと思いますし、組んでいて申し訳ないという気持ちがあります」

―― リード面で悩まれることはありますか?

「日々悩んでいます。結局結果論で語られる側面が強いものだと思いますが、どんなに迷っても複数の選択肢からどれかを必ず選ばなければいけません。そして打たれてしまった場合はその選択肢で果たして本当に良かったのかと反省する、この繰り替えしです。倉さん(義和・当時二軍バッテリーコーチ)からは『確率の高いことをやっていくしかないから』ということをおっしゃっていただいています。正解がない事なのでなんとも言えませんが、状況を踏まえながら、どういう事がしたいのかとを考えた上でリードが存在していると思うので、成功する確率が高いものを選ぶための技術、感性を磨いていきたいと思っています」

―― 今後どのような捕手になっていきたいですか?

「勝てる捕手です。〝打てる捕手〟という響きも良いですが、自分が打ってもチームが負けては意味がありません。強いて言うなら〝打てて、勝てる捕手〟として優勝の瞬間にマスクを被っているような選手になりたいです」