一軍での活躍が期待されるカープ選手の2021年の声をお届けする蔵出しインタビュー企画。今回取り上げるのは、連続先発登板の日本新記録を樹立した野村祐輔。2021年の6月に行ったインタビューから、復調が待たれる先発のキーマンの言葉を抜粋してお届けする。
(広島アスリートマガジン2021年7月号で行ったインタビューをもとに編集)

一軍での白星に期待がかかる野村祐輔投手。現在は二軍で調整を続けている。

◆不変の投球スタイルで連続先発登板の日本記録を樹立

 大きな期待をかけられていたのは間違いない。しかし、開幕からここまで、野村祐輔にいまだ勝ち星がない。この寂しい事実の響きこそが、チームが波に乗れない原因の一つではないだろうか。今年はプロ10年目。過去に最多勝利、最高勝率のタイトルを獲得し、先発として通算77勝を挙げるなど、抜群の実績を誇る野村。先発ローテーションの一員として投げていた昨季のシーズン途中に、右鎖骨下静脈血栓症除去の手術を受けた。リハビリを乗り越えたことで、今季は、復活を懸ける一年になるはずだった。

「リハビリ中は自分の思った通りに体が動いてくれない時があり、不安な気持ちを抱えて過ごすこともありましたが、早く一軍のマウンドに戻って投げたいという目標を持って頑張ってきました」

 春季キャンプは二軍スタート。オープン戦終盤まで一軍から招集がかからなかったが、オープン戦最終戦でチャンスが巡ってきた。この試合、ソフトバンク打線を相手に5回を投げて2安打無失点。安定感抜群の投球を披露し、最後の最後に開幕ローテの座を勝ち取った。野村にまず託されたのは開幕カードの3戦目。3月28日の中日戦(マツダスタジアム)で先発マウンドに上がると、勝ち星こそつかなかったが、6回無失点の貫禄の投球を見せ復活をアピールした。しかし、それ以降、野村は勝ち運から見放されることとなる。先発としての役目を果たすも白星を手にすることができない試合もあり、もどかしい日々が続いている。

「試合序盤から球数が増えてしまうイニングがあるので、攻撃にリズムを与えるためにも、なるべく少なくしていかないといけないと思っています。ストライク先行で投げることができている試合は、内容もついてきていますが、球数が増えたり、ランナーの出し方が悪いと失点を重ねてしまっています。走者を背負うとテンポを崩してしまう傾向にあるので、それを改善するのが課題ですね」

 野村が10年かけて打ち立てた『188試合連続先発登板』の金字塔。それだけに先発には強い思い入れがある。カープだけではなく、広陵高でも明治大でも、エースとしてチームを勝利に導いてきた。25年ぶりの優勝を果たした2016年に16勝を挙げた活躍も記憶に新しい。

「任された登板で、試合をしっかりとつくることが先発の一番大きな仕事だと思っていますし、良いものを出せるようにこれまでやってきたつもりです。体の状態は日によって変わってくるので、その中で、その日のベストを出せるように取り組んでいますし、登板に向けた準備も大事にしています。準備で一番意識するのはメンタル面ですね。頭と心の準備をしっかりするように心がけています」