9月14日現在、セ・リーグで3位の打率.313をマークするなど、ブレークの兆しを見せているカープ坂倉将吾。今季は高い打撃力を武器にスタメン5番に定着し、9月8日には初の規定打席に到達。守っては捕手を基本線に一塁も守りながらチームに欠かせない存在へとなりつつある。

 プロ5年目の飛躍を迎えようとする坂倉は、どのようなプロ生活を歩んできたのか? ここでは改めてプロ2年目の坂倉について振り返っていく。

期待されたプロ2年目は一軍で1安打に終わるも、二軍で打率.329を記録した。

◆一軍で結果を残せずも、速球への対応を改善

 プロ1年目、坂倉は高卒ルーキーながらも春先から二軍で積極的に起用された。二軍では99試合に出場して85安打を放ち、ウエスタンリーグ2位となる打率.298をマーク。そしてシーズン終盤には2013年の鈴木誠也以来となる、高卒1年目での一軍初安打も記録した。

「心技体、その3つの全てで成長できた1年だったと思います」

 ルーキーイヤーを終えた当時、そう振り返った坂倉。2年目となる2018年の春季キャンプは一軍スタートとなった。キャンプでは侍ジャパンの稲葉篤紀監督が視察に訪れた際には名指しで打撃力を評価されるなど、周囲の期待感は増すばかりだった。またこの年は、同じ捕手である中村奨成がドラフト1位で入団。ライバルとして比較されるなど、さらに注目度も上がっていた。

 一軍メンバーのまま迎えたオープン戦。必死のアピールを続けるも、期待された打撃面で打率が1割台に低迷し、開幕を二軍で迎えることになった。ルーキー中村奨との併用が続き、二軍戦での打席数も限られていたが、徐々に調子を取り戻して安打を量産。打率も3割に乗せるなど、少ないチャンスで結果を残していた。

 2年目を迎えるにあたり、打者・坂倉の課題は直球への対応だった。当時、二軍打撃コーチを担当していた朝山東洋コーチ(現一軍打撃コーチ)は、このように評価していた。

「もともと変化球と直球のミックスへの対応については、センスのある選手でしたが、今季は自分なりに課題の解消を考えてヒッチを取り入れたようです。上から振り下ろすぐらいの感覚を持つことで、速い球に対して最短でコンタクトできています。バットが最短距離を描いているからこそ、自分の懐に球を呼び込めるようになるんです」

 丸佳浩のようにバットスイングの始動時にヒッチを導入したことが奏功し、苦手としていた速球への対応するなど、苦しみながらも一歩一歩ステップアップしていた。

 期待されたプロ2年目は、結果的に一軍で9試合に出場し、わずか1安打に終わる。しかし二軍では打席数こそ前年を下回ったものの、53安打を放ち打率.329、4本塁打をマークした。プロの壁の前に苦しみながらも、着実に打者として成長の跡を見せたシーズンだった。