9月18日のソフトバンク戦(二軍)では9回の同点打を含む2安打2打点。9月19日のソフトバンク戦(二軍)でも9号本塁打を含む2安打2打点と調子をあげつつあるクロン。

 開幕前の春季キャンプでは連日強い打球を飛ばし、その圧倒的なパワーをアピールした。しかしオープン戦は打率.063と絶不調。シーズン開幕後も思うような打撃ができず、6月中旬からは二軍での調整が続いている。クロンを悩ませていたのは日本の野球に対応するためのスイング軌道。試行錯誤の末に見つけたシンプルな思考をもとに、一軍再昇格を目指し、ひたむきにバットを振り続ける助っ人が8月上旬に話していた言葉を再収録する。

長距離砲としての活躍が期待されるクロン選手。

◆スイングの迷いを払拭。長距離砲覚醒へ

─スイング軌道を修正していると聞きました。具体的にどう変えているのでしょうか?

「一軍にいた時、打撃コーチから『ダウンスイングを心がけよう』と言われてきました。チャレンジしていたのですが、体の開きが早くなるし、ファールも多くなり、どんどん打撃の状態が悪くなっていきました。そもそもこれまでダウンスイングで球を打ったことはありませんでした。二軍降格となり、二軍でコミュニケーションをとっていると、ようやく打撃コーチが言っていたダウンスイングの正体が分かりました。日本で言うダウンスイングとは、バットを振り上げて下ろすのではなく、最短距離でミートポイントにバットを出すことだったんです。それが分かってから、ようやく心の中のモヤモヤが吹っ切れました」

─意図したことと違ってもコーチの助言を受け入れてチャレンジしようと思われたのですね。

「アメリカで培ってきた打撃を変えることにはまったく抵抗はありません。来日が決まった日から新しいことにチャレンジしようと決めているので、結果を残せるのであれば、どんなこともまずは受け入れてみようと思っています」

─日本語と英語では物事の捉え方が違うため、悩んだ時間も長かったのではないかと思います。

「言われた通りにやってみても上手くいかなくて、家族も日本にいないのでストレスが溜まっていきました。精神的にもきつくなったとき、ようやくスイングのやり方に辿り着き、今ではそれに集中して取り組むことができています」

─スイングの意識が変わったことで打撃に変化はありましたか?

「何よりもゴールをイメージできたのが大きいです。しっかりと取り組めば、パフォーマンスも良くなると思いますし、絶対に日本で成功できると信じています」

◆プロフィール
K・クロン 10
■ケビン・クロン ■1993年2月17日生(28歳)■195cm/115kg
■右投右打/内野手 ■アメリカ出身 ■ダイヤモンドバックス-広島
2019年にマイナーで39本塁打を放つなど、アメリカで通算151本塁打の実績を持つ長距離砲。得点力不足解消の切り札として期待されている。