かつてはチームを勝利に導くセットアッパーとして活躍した今村猛だが、今季は一軍登板なし。本来の投球を取り戻すため試行錯誤を続けている。今年30代を迎え、ベテランの域に入りつつあるが、まだまだ若手に負けるわけにはいかない。長年カープのブルペンを支えてきた今村に現状を聞いた。※取材は9月上旬。

今季一軍登板なし。復調に向けて二軍で鍛錬を重ねる今村猛投手。

◆若い頃とは違う取り組み。全ては一軍に上がるため

─いま二軍ではどんなテーマを持ち練習に取り組んでいますか?

「一番は試合で結果を出すこと。無失点で終えることを目標に試合に臨んでいます。練習ではストレートの球速をあげることを第一に、全体的なレベルアップを図れるように取り組んでいます」

─一軍昇格に向けて、自身に足りていないと捉えておられるのはどんな部分ですか?

「そうですね……ストレートの球速が出ていないですし、それが原因で、最近の試合では三振を奪えていません。そういうところが課題かなと思いますね。ストレートの球速は、140キロ後半は毎試合出したいと思っています」

─ポイントはストレート?

「そうですね。しっかりとストレートを投げた上での変化球だと思うので、まずはストレートを取り戻さないといけません」

─今村投手は今年でプロ12年目。若い頃と比べ、変わったなと感じる部分はありますか?

「昔は毎日同じような練習をやることが多かったですが、最近は新しい練習方法も取り入れるようになりました。その柔軟さにおいては若い頃に比べて変わってきたと思います。トレーニング以外に、投げる時の意識の持ち方もそうです。結局自分でやってみないと分からないことが多いので、思いついたことや興味が湧いたことをまずはやってみて、良ければ続けていくという感じです。今はもう毎日これだけは必ず続けていくというものは持っていないですね」

─今季は二軍での生活が長いですが、モチベーションはどのようにコントロールされていますか?

「野球をやらせてもらえているという部分では一軍も二軍も同じだと思いますが、プロである以上、やはり一軍で活躍してこそだと思っています。二軍では勝ち負けにこだわることでモチベーションを保っています。今年は由宇での時間が多いですが、これまでと違うひらめきを与えてもらうことも多いです。自分を見つめ直すという面ではこの時間も決して無駄にはなっていないと思っています」

◆プロフィール
今村 猛 16
■いまむら・たける ■1991年4月17日生(30歳)■183cm/94kg
■右投右打/投手 ■長崎県出身 ■清峰高-広島(2009年ドラフト1位)
一軍通算21勝30敗115ホールド36セーブのカープを代表するリリーバー。 今季、二軍ではチーム2位の34試合に登板。虎視眈々と昇格の時を待つ。