現役時代は走攻守三拍子揃った球界を代表する外野手として、23年間の長きにわたりカープを支え続けた緒方孝市氏。現役引退後はブランクを置くことなくコーチに就任し、野村謙二郎氏から引き継ぐ形で2015年シーズンから一軍監督に就任。球団初のリーグ3連覇を成し遂げるなど、監督としても輝かしい実績を数多く残した。カープ在籍期間は実に33年。ユニホームを脱いでから約半年が経過した現在の思いを聞いた。

久々に公に姿を表し、インタビューに応じる緒方前監督。

「高校を卒業して18歳の時にドラフトでカープに指名されてから、現役で23年間、コーチ5年間、監督として5年間、33年間ずっとカープのユニホームを着させていただきました。自分はずっとプロ野球の中で生活をしてきたので、ユニホームを脱いだときは正直少しホッとした気持ちでした」

 カープ一筋33年。競争厳しいプロの世界で、長きにわたりチームの最前線で戦い続けてきた。現役時代は5度の3割、盗塁王(3年連続)、ゴールデン・グラブ賞(5年連続)を受賞。現役引退直後の2010年に指導者となってからも早くから球場入りし、四六時中、野球のことを考え続けた。結果が出なければ、厳しい言葉も浴びせられる。「ホッとした」というのは偽らざる気持ちなのだろう。

「今は何のプレッシャーもないというか、野球のことを考えなくてもいい時間を過ごしています。極端な話、何時に起きても何時に寝ても良い訳ですからね。これまでと全く違う生活リズムになったので、不思議な感じがしながらも、ゆっくりと過ごさせてもらっています。たまには体を動かしたりはしますが、散歩したりその程度です。ファンのみなさんと同じ生活リズムで毎日を過ごしています」

 監督退任後、緒方氏が公に姿を現す機会は数えるほど。しばらくは家族との時間を大切にしながら、静かな日々を送っていた。ただ、そんな生活の中でも「カープのことはもちろん気になります。広島に住んでいればテレビ、新聞などから自然と情報は入ってきますからね」と、OBとして陰ながら一緒に戦ってきた選手たちの動向を見ていたそうだ。