2021年ドラフト会議が10月11日に行われる。今季苦しい戦いを強いられているカープは一体どんな選手を指名するのか注目される。未来のカープを支える選手発掘の過程の中で、これまでカープはどのような戦略を立てドラフトに臨んできたのだろうか?

 ここでは直近10年間のカープのドラフト指名選手を当時の状況と共に振り返っていく。今回は中村奨成をはじめ7人の高校生を指名した2017年のドラフトに触れていく。

それまでは即戦力選手の指名が目立っていたカープだが、2017年は一転して将来性志向のドラフトとなった。

 カープがリーグ2連覇を果たしたこの年の注目は、何と言っても高校通算111本塁打の肩書きを持つ清宮幸太郎(早稲田実高)の動向だった。各球団からの評価の高さを示すように、実際のドラフトでは1995年の福留孝介(PL学園高)に並ぶ高校生最多7球団が1位指名。さらに九州学院高のスラッガー村上宗隆(ヤクルト1位)、履正社高の安田尚憲には清宮の抽選を外した球団がそれぞれ3球団ずつ指名するなど、高校生スラッガーへの指名が集中した。

 その中でカープは清宮ではなく、地元出身のホープである中村奨成(広陵高)の獲得に乗り出した。即戦力投手よりも捕手の補強を優先した中日と競合する形になったが、抽選の末に交渉権の獲得に成功。夏の甲子園で6本塁打を放ち、1985年に清原和博(PL学園高)が樹立した1大会の個人最多本塁打記録(5本)を更新した地元広島のスター獲得に、広島の街が一気に沸き立った。

 以降は4位の高校生外野手・永井敦士(二松学舎大付高)を除き、育成を前提とした素材型の投手を多く獲得。その中で2位の山口翔(熊本工高)は2年目に一軍昇格を果たし、プロ初先発でプロ初勝利を記録している。また5位の遠藤淳志(霞ヶ浦高)も高卒2年目で早くも頭角を現し、プロ初勝利、プロ初セーブをマーク。20歳4カ月でのセーブは、今村猛の20歳5カ月を抜く球団最年少記録だ。

 上記の2投手からは出遅れたものの、3位指名のケムナ誠(日本文理大)は昨季から中継ぎ投手として、一軍定着を目指している。結果的に高校生6選手、大学生2選手の合計8選手の指名となった2017年は、即戦力ではなく、将来を見据えた指名が目立ったドラフトとなった。

【2017年 カープドラフト指名選手】
1位:中村奨成(広陵高・捕手)
2位:山口翔(熊本工業高・投手)
3位:ケムナ誠(日本文理大・投手)
4位:永井敦士(二松学舎大付高・外野手)
5位:遠藤淳志(霞ヶ浦高・投手)
6位:平岡敬人(中部学院大・投手)
育成ドラフト1位:岡林飛翔(菰野高・投手)
育成ドラフト2位:藤井黎來(大曲工業高・投手)
育成ドラフト3位:佐々木健(小笠高・投手)