現役時代は不動の1番・ショートとしてカープ3連覇に大きく貢献し、昨シーズン限りで現役を引退した田中広輔氏。百戦錬磨の『選球眼』は、今季のカープ野手陣をどう見るのか。かつてのリードオフマンが、シーズン序盤の結果を踏まえて、若手選手への期待と、ベテラン選手の必要性について語る。(全2回/第2回)

昨シーズン、キャリアハイの成績を残した中村奨成だが、今季は一軍32試合出場と苦しんでいる

◆変革期だからこそ、ベテランの経験や技術も必要

 開幕から気になったのは打順です。開幕当初の上位打線は、3番の小園海斗選手以外は一年間戦った経験の少ない選手が中心でした。若さを武器に攻めることも大切ですが、上位打線には試合をつくる役割が求められます。経験の浅い選手では、脆さが出てしまうこともあります。

 4月途中から菊池涼介選手や野間峻祥選手らが上位に入り、打線に落ち着きが出てきたように感じました。一時離脱した秋山翔吾選手や菊池選手が上位にいることで相手投手へのプレッシャーも変わり、攻撃の流れもつくりやすくなります。変革期だからこそ、ベテランの経験や技術は欠かせない戦力だと感じています。

 主軸として期待される小園選手も、序盤は苦しみました。打撃の状態が守備にも影響しているように見える場面もありましたが、昨季首位打者と最高出塁率を獲得した選手です。彼はチームを引っ張る立場で、若手という年齢ではありません。苦しい時こそ結果でチームを支えることが求められる存在になったと思います。

 捕手陣では持丸泰輝選手の成長も目立っています。スタメンで出場する機会が増える中で大切なのは初心を忘れないことです。慣れが出た時こそ隙が生まれがちです。これから本当の厳しさを経験すると思いますが、つかみかけているチャンスをモノにするために一日一日を大切に積み重ねてほしいです。

 シーズンはまだ長く続きます。夏場に向けて若手がどれだけ力を発揮できるかが重要になります。

 序盤に悔しい思いをした選手たちが、その経験を力に変えられるか。若手の勢いとベテランの経験値、この二つがかみ合った時、チームはさらに上へ進めるのではないでしょうか。

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