カープOBの笘篠賢治がカープ野手陣について語るコラム。今回は、調子が上向いてきたチームの状態について取り上げる。※取材日は10月中旬。

守護神・栗林の起用法が今後の鍵を握るかもしれない。

◆栗林温存が招いたサヨナラ負け

 ここ9試合で7勝2敗と、後半戦になってカープが調子を取り戻してきました。9月8日からの巨人3連戦を3連勝、これまでの巨人とは少し違う雰囲気でしたたが、3タテできたのは素直に喜びたいところです。そして、後半戦勝ち星がなかった森下暢仁に白星がついたのは大きいですね。

 唯一悔やまれるのは9月5日の中日戦。同点の9回裏に連続セーブ記録を続けている栗林良吏の登板を避けてのサヨナラ負け。ここがもし引き分けだったら貯金が1つ増えていたんですよね。Bクラスというところで、個人記録を優先したのもかもしれませんが、“負けない野球”というところができないと勝率は上がっていきません。今年は、9回までというルールがあるだけに、抑え投手を起用してもらいたかったところです。

 打撃陣に目を向けると、鈴木誠也と坂倉将吾の首位打者争いが面白くなってきました。坂倉は2割台まで落ち込んだ時もありましたが、ここにきて盛り返してきました。規定打席到達が遅かったぶん、まだ打席数が少ないので、1本の安打で数字が上がりやすく、固め打ちすると一気に上がる可能性があります。

 一度首位打者に躍り出てからの苦しみを味わっているだけに、その経験を踏まえ打席に立つことができているのではないでしょうか。チームの状態も良いだけに、このまま打率の1位と2位を、鈴木・坂倉のカープ勢で独占してほしいですね。