10月11日に行われた今年のドラフトでカープは育成を含め11名の選手を指名。プロの世界に飛び込んでくる選手たちは、どんなプレーを持ち味にしているのか。アマチュア球界を長年取材し指名候補選手に詳しい安倍昌彦氏にカープが指名した11選手の特徴、期待される役割などを語ってもらった。
今回はドラフト2巡目指名・森翔平（三菱重工West）の徹底解説をお届け。社会人野球を経験することでスケールアップした左腕の魅力を、安倍昌彦氏の視点で紹介する。
◆完成度の高いサウスポー。1年目から先発ローテ入りも
関西大4年秋、学生野球最後の秋に初めて『全国』の舞台に進出した森翔平。初の神宮のマウンドで、金沢学院大から13三振（8回）を奪い破った快投の記憶が今も脳裏に鮮烈に残っています。
149キロを計測するまでに成長したクロスファイアーにスライダーがキレにキレて、直球と変化球で腕の振りの勢いが変わらないのも森の魅力の一つです。大学卒業後、当然プロに行くと思っていたのですが、大学の実績が不十分と社会人へ。しかし、この選択が森にとっては良かったように感じています。
今年の春までの1年ちょっとは、打ち込まれることもありの『精進期間』。そこを肥やしにして、6月の日本選手権からこの秋の都市対抗予選にかけて、ぐっと頭をもたげてきました。
注目すべきは、その『実戦力』です。
速球だけでなく、カットボールとチェンジアップをカウント球にも勝負球にも使えて、『ピンチ度』が上がるに従って、パワーのギアと精度が上がるピッチングを披露。文字通りこの数カ月は、大学から社会人に進むことで、成長スピードを加速させる『急がばまわれ』を体現しています。
『最初の12人』でも良かったほどの実力者。四球の少ないサウスポーで、スピードもこの秋150キロに達しました。
変化球を操れるテクニックも獲得しつつあるだけに、大きな故障さえなければ、先発ローテーションの一角を占めるまで、それほど時間もかからないはずです。
●ドラフト2巡目：森翔平（投手・三菱重工West）
もり しょうへい／1998年1月1日（23歳）／左投左打／177cm・80kg
●解説：安倍昌彦
あべまさひこ／スポーツジャーナリスト。1955年4月24日、宮城県仙台市生まれ。早稲田大高等学院、早稲田大学野球部にて捕手を務めた。卒業後会社勤務ののち、野球雑誌『野球太郎』の立ち上げに参加。ドラフト候補選手たちの投球を実際にブルペンで受けた上で選手たちの状況を語る“流しのブルペンキャッチャー”としての活動は現在も継続中。各種webマガジンでドラフト候補選手たちにまつわる連載を担当している。
