攻撃に守備にとタフに走れ、ドリブルも切れるしFKの精度も抜群。突出したサッカーセンスを持つサンフレッチェの10番・森島司。笑顔の内側に熱い闘志を秘めた森島に、10番への思い、今シーズンの戦いについて聞いた。

サンフレッチェで10番を背負い躍動する森島司。パスセンスはもちろん、前線への飛び出しに加え、足元の技術もあるなど、豊富なプレーで攻撃のバリエーションを増やしている。

◆攻守で力強くハードワーク。広島の真のエースへと成長を

―2020シーズンから背番号10番を背負われています。ご自身の中で意識の変化などはありますか?

「周りの人は10番ということで期待をしてくれたり、応援してくれたりしていますが、自分の中で意識が変わったということは特にありません。ただ、10番を付けさせていただいていることはありがたいですし、頑張らないといけないと思っています。そういう思いはありますが、いざ試合になると、背番号は特に意識せずにプレーしています」

―10番のプレッシャーはないと?

「特に感じたことはないですね」

―7番、8番、11番のように、広島にはレジェンド達が背負った馴染み深い番号があります。本誌でコラムを担当しているOBの吉田安孝さんは「広島の10番といえば森島という存在になってもらいたい」と言われていました。

「それはうれしいです。ありがとうございます。期待に応えることができるように良いプレーを届けていきたいと思います」

―昨年からプレースタイルが変わった印象があります。攻撃だけではなく、守備にも力を入れているように感じます。

「しっかりと守備をこなすことで、試合の出場機会が増えると思うので、そこは意識して取り組んでいます。ただ、少し守備への意識が多いなと感じる時もあるので、そのあたりは攻撃とのバランスをとっていきたいと思っています」

―昨シーズンの5得点に対して、今シーズンは4月18日の川崎戦であげた1得点にとどまっています。得点の部分で心がけていることを教えてください。

「得点もアシストも、今の数字には満足していないので、もう少し頑張らないといけないと思っています。10月3日の名古屋戦でもチャンスがありましたが、決め切ることができませんでした。クロスに合わせて中に入ること、ゴール前に顔を出すことが大事になってくると思います」

―得点を決めた川崎戦では、サントス選手が前へ突破しているところに合わせて、森島選手も前線に加わり、ゴールポストに当たったこぼれ球を見事に決められました。あのような動きが大切になってくるということでしょうか?

「あのゴールはサントスの突破のおかげで、たまたま僕が決めただけです。得点を奪うためには、チームが連動して動くことが大切だと感じています。特に今年はチームとして勝ち切れていない試合が多いので、得点を奪い、しっかりと勝てる試合を増やさないといけないと思っています」

―たしかに今シーズンは勝ち切れずに引き分けに終わる試合が多く、32試合中12試合の引き分けはリーグ最多です。

「“これが入るのか”と思うような相手チームのゴールもありました。引き分けが多い要因はいろいろあると思いますが、勝ち数に変えれるようにしないといけません」

―10月3日の名古屋戦では前半35分に浅野雄也選手のゴールで先制し、最後までゴールを許すことなく戦い、勝ち切ることができました。チームとして、これまでと意識の違いなどはありましたか?

「今まで相手チームに引き分けに持ち込まれる試合が多かったので、勝ち切ることは常に考えていますが、名古屋は強いチームだけに、いつも以上に意識できていたと思います。また、途中交代で出場した選手とも守備の面で良い連携ができていたので、その影響もあったと思います」