カープの鈴木誠也(27)がポスティングシステムでのメジャー挑戦を表明した。6年連続打率3割・25本以上を記録したNPB屈指のスラッガーを巡って、メジャー複数球団による争奪戦が予想される。

初の規定打席に到達した2016年当時の鈴木誠也選手

 ここでは、日本を代表する打者へ成長するまでの鈴木のプロ9年間の軌跡を辿る。今回はプロ4年目の2016年、25年ぶりの優勝を果たしたシーズン終了直後のインタビューを振り返る。

* * * * * *

─鈴木選手にとって昨季(2016年)はどんなシーズンでしたか?

「一言で言うと良い経験ができたシーズンでした。結果自体はあまり意識していなくて、ずっと試合に出続けられたことが僕にとって意味がありました。1年間一軍で出場するということを勉強させてもらったのはすごく良かったです」

─シーズンでは打率・335、本塁打29本、95打点と素晴らしい数字を残されました。

「シーズン中は結果を出さないと試合には出続けられないと思っていたので打率は意識していました。終わってみれば調子の波が少なくできていたと思うので、その点は良かったと思います。でも、クライマックス・シリーズ(以下CS)、日本シリーズとあまり良い結果が出なかったので、あれが今の僕の力なんだと感じました」

─ほぼフルシーズンで続けて試合に出続けましたが、長く感じましたか?

「今思えば短かったと思います。でもシーズン中は長く感じましたし毎日試合後はキツかったです。最初の頃は試合後も打ち込みを続けていたのですが、ずっと試合に出ていると次の日のパフォーマンスに影響して良くないと思ったので、途中から数と時間を決めて練習をするようにしていました。でも自分の中で試合後の素振りは、1日の反省を見直す意味があったので、それは毎日続けていました」

─試合に出続けることで、精神的な部分でキツさは感じましたか?

 「シーズンが終わってから急にしんどさを感じましたね。プレッシャーから解き放たれたというか、やっと終わったんだという達成感がありました。シーズンが終わった後は少し野球から離れたいなと思いました。でも昨季を振り返れば、もうちょっとできたんじゃないかと思うことがありました。外野手は代わりの選手がたくさんいますし、試合に出るためにはまず打たなければいけません。シーズン中は自分のことで精一杯でした。自分の結果ばかり追い求めてやったシーズンでしたね」

─体のケアをするにあたって変化させたこと、取り入れたことはありますか?

 「2015年までは週に3~4回のウエートをがっつり入れていましたが、昨季はウエートを週2にして、しっかり休むことを前提としたトレーニングをするようになりました。内容も重いトレーニングばかりを入れるわけではなく、トレーナーさんと相談しながら進めて、春先は比較的重いトレーニングを入れて、夏場は自体重だけでのトレーニングをやりました。その甲斐もあって途中離脱もありませんでしたし、体重も6キロ増やすことができたので体調管理はうまくいったと思います」