カープの鈴木誠也(27)がポスティングシステムでのメジャー挑戦を表明した。6年連続打率3割・25本以上を記録したNPB屈指のスラッガーを巡って、メジャー複数球団による争奪戦が予想される。

プロ5年目、2017年の鈴木誠也選手。4番に抜擢され、重圧と戦い続けた。

 ここでは、日本を代表する打者へ成長するまでの鈴木のプロ9年間の軌跡を辿る。今回はプロ5年目の2017年、プロ初の4番を託されたシーズン中に聞いたインタビューの前編をお送りする。

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─まず今季開幕前はWBC日本代表に選出され、世界を相手にする大きな戦いがありました。鈴木選手にとって、この経験はどのようなものになりましたか?

「日本でしかプレーをしたことがなかったですし、海外に行って試合をする、また海外での生活などいろいろ経験する事ができました。僕の中で一つひとつ考え方が変わりましたね」

─日本代表チームでは自主トレを共にしているソフトバンクの内川聖一選手(現ヤクルト)もチームメートでした。

「内川さんとチームメートとして初めてプレーできましたが、自主トレの時みたいにアドバイスを求めることはそんなにありませんでした。僕もキャンプで練習してきて、自分の形が少しずつできてきていた部分もあったので、聞いたとしても『今どうなっていますか?』というくらいでした」

─WBCで緊張感がある戦いの後、レギュラーシーズンに入るにあたって、モチベーションとしてはどのようなものでしたか?

「僕はWBCに出場する楽しみの方が大きかったですし、WBCの後シーズンに入ることについて不安はありませんでした。やはり長く続くシーズンよりも、一発勝負のWBCでの緊張感は一味違うものだと思いました。それだけに『シーズンに入るのが難しいのではないか? 疲れるんじゃないか?』と思う部分も多少あったのですが、特にそんなこともありませんでした」

─チームの主力として迎えるプロ5年目の開幕はどのような思いで迎えましたか?

「昨季1年間結果を出したからこそ『2年目のジンクス』ということをいろんな人に言われてきましたし、『今年が勝負の年だ』とも言われてきました。それは自分でも分かっていますし、周りから言われることで『昨季だけで終わりたくない』という気持ちの中で今季の開幕を迎えました」

─昨季の開幕はケガで離脱されていましたが、2015年以来2年ぶりの開幕スタメンとなりました。

「開幕戦は6番スタメンで、比較的気が楽な打順で打たせてもらいましたけど、何とか結果を出して周囲からいろいろな事を言われないようにプレーしたいと思っていました。2年前に開幕スタメンで出た時に結果が出ず、すぐに代えられた経験があるので、自分の中では『しっかり良いスタートを切りたい』という気持ちでした。状態はあまり良くなかったのですが、いきなり猛打賞という結果が出たのは、僕の中で自信になる部分がありました」

─昨季好成績を残したことで、相手投手の攻め方に変化を感じることはありますか?

「多少変わったかなと感じるくらいで、意識するほど変わった印象はありません。昨季もシーズン後半に打てている時期は結構インコースを攻められていましたからね」