小園海斗、林晃汰など、一軍経験の少ない若手選手の台頭目立った、今季のカープ野手陣。ここでは、今季のカープ野手陣総括として、プロ初の規定打席に到達し、リーグ2位の打率を残した坂倉将吾、高卒3年目で2ケタの10本塁打を放った林晃汰について、朝山東洋一軍打撃コーチに聞いた。

◆150キロの速球を打ち返すスイングスピード

プロ初の規定打席に到達し、リーグ2位の打率を残した坂倉将吾。

 年々スイングスピードが早くなっていますが、5年目の今年が一番スイングが早かったです。

 これまでは150キロを超える真っ直ぐを捉えるイメージは全くと言っていいほどなかったのですが、今年は、150キロを超えても振り負けずに、安打や本塁打にする打撃を何度も見ました。

 その『スイング力』の向上が、今年の坂倉の一番の成長だと感じています。速い球に対応できるようになると、変化球を狙っていこうなど、打席で余裕が生まれます。

 実際、坂倉の打席は、ゆとりが感じられました、そういう面ではメンタルの保ち方においても確実に成長していると思います。あと本塁打の数には驚きましたね。ミート率は高いものの、本塁打を量産することはないと思っていました。小園と同じように3割・20本を打てる打者を目指してほしいですね。

坂倉将吾 #31
捕手/右投左打/5年目
【2021年成績】132試合 422打数133安打 打率.315 12本塁打 68打点 4盗塁

◆遠くに飛ばす才能を活かすため確率の良いスイングを

高卒3年目で2ケタの10本塁打を放った林晃汰。

 コロナ禍の影響で、チャンスが回ってきた形になりましたが、林の持っている力を考えると、120%くらいは出せたのではないかと思います。

 規定打席には届きませんでしたが、あと少しのところまで近づき、2桁本塁打を記録しました。遠くに飛ばす能力は教えて身に付くものではなく、どちらかと言えば天性の部分があります。林はその才能を持っている選手です。

 課題は、安打が出ないことが続くと、焦りから三振が増えること。その波を少なくするためには苦手コースを作らないようにしないといけません。一軍では徹底してどんどん弱点を突かれます。克服するには、スイングを変えて、確率の良い打ち方ができるようにならないといけません。まだまだ鍛錬が必要。今年の数字には満足せず、練習を積み重ねていってほしいですね。

林晃汰 #44
内野手/右投左打/3年目
【2021年成績】102試合 357打数95安打 打率.266 10本塁打 40打点 0盗塁

●朝山東洋(あさやまとうよう)
1976年7月29日生、福岡県出身。1994年ドラフト3位でカープに入団。怪我に見舞われたプロ生活だったが、2000年には58試合に出場し5本塁打を放った。2004年限りで現役引退。2005年から二軍、三軍のコーチを15年務め、数多くの若手選手を一軍の主力に育てあげた。2020年からは一軍打撃コーチを務めている。