現役引退表明から約3カ月後、アメリカの自宅でPCを通して届けられたK.ジョンソンの言葉。それは6年間在籍したカープ、そして家族と共に暮らした広島への思いに溢れたものだった。引退の決断した理由、カープでの思い出、石原慶幸・西村公良への思い、そして今のカープへのメッセージ……。1時間を超える独占取材で、最強助っ人左腕が思いの限りを、引退後、初めて告白した。(全5回のうち3回目・取材は11月上旬)

カープ在籍6年間で57勝をあげたK.ジョンソン

◆大きかった、最強打者の1人に数えられる選手の存在

2回目から続く
─引退されてからカープの試合はチェックされていますか?

「映像は見ていませんが、スコアは頻繁に見て、どの選手が頑張っているかをチェックしていましたね。実はシーズン中、九里(亜蓮)とはよくメールでやりとりをしていました。また、引退を表明した時は、(大瀬良)大地をはじめ、いろんな選手からメッセージが送られてきたので非常にうれしかったです」

─今季は数多くの若手選手が一軍で結果を残しました。カープ在籍時、注目していた選手はいますか?

「まずは森下(暢仁)ですね。1年目から素晴らしい球を投げていました。2年目の今年は勝ち星に恵まれませんでしたが、これから体がもっと強くなっていくはずですし、日本を代表する投手になるのは間違いないと思います。そしてルーキーの栗林(良吏)。結果しか見ていませんが、すごい球を投げることは容易に想像できます。新人とは思えない成績を残していますし、彼も素晴らしい投手なんだと思います。若い選手が出てきたのであれば、きっとまた強いカープの時代がやって来るのではないかと思いますね。今はその準備段階なんだと思います」

─リーグ3連覇を果たしたチームも、Bクラスに終わったチームも経験されています。何か違いは感じましたか?

「戦う上での雰囲気は、2016年から2018年のチームも、2019年と2020年のチームも違いはありませんでした。良い雰囲気のなかで、勝利を目指した戦いができていたと思います。ただ、一つ大きな違いは、丸(佳浩・現巨人)の存在です。12球団のなかでも最強打者の1人に数えられる選手だと思っているので、彼がいなくなったのは大きかったと思います。野球はチームスポーツです。選手がうまく機能することで強いチームになります。丸がいなくなってもチームが機能すれば問題ありませんが、その穴を埋めることができないまま、今まできているのかなと感じますね」(続く)

取材協力/J SPORTS

◆Kris Johnson(クリス・ジョンソン)
1984年10月14日生・アメリカ出身。37歳。ウィチタ州大-パイレーツ-ツインズ-広島。2015年シーズンにカープに入団。来日初登板で1安打無死球の準完全試合を達成。以降も先発ローテの柱として登板を重ね、この年14勝。防御率1.85で最優秀防御率のタイトルを獲得した。2年目の2016年は開幕投手を務め、自己最多の15勝。外国人では2人目となる沢村賞を獲得。シーズン後には3年契約を結んだ。2017年は6勝に終わるも、2018年からは2年連続で2桁勝利を記録。2020年は0勝に終わったが、6年間で球団の外国人投手では最多となる通算57勝をあげ、左腕エースとして活躍した。2020年シーズンオフにカープを退団。2021年8月18日に球団を通して現役引退が発表された。