自身2度目となる開幕投手に指名されている大瀬良投手

 2020年3月20日、大瀬良は2度目の開幕投手としてマツダスタジアムのマウンドに上がっているはずだった。

 しかしコロナ禍の影響によりプロ野球界は対応に終われ、3月9日の第2回対策連絡会議で3月20日の予定であったプロ野球開幕の延期が決定。その後も4月24日を目標としていた開幕も再延期となり、見通しが立たない状況が続いた。

 緊急事態宣言中の5月中旬、大瀬良はこの状況を冷静に受け止めていた。

「『開幕投手を頼むぞ』と言われてからは3月20日に向けて調整していたので、開幕延期が決定したときにはすごく残念な思いもありました……。でも状況も状況ですから」

 佐々岡真司監督から早々に開幕投手に指名されていた大瀬良。昨シーズンの悔しさを踏まえてオフから自らを追い込み続けて3月20日に照準を合わしてきただけに、複雑な心境であったに違いない。

 2年前、大瀬良は2018年には投球フォームを大幅変更したことで大きく飛躍。15勝7敗で最多勝、最高勝率の2冠に輝き、先発陣の大黒柱として3連覇に貢献した。一躍エースという立場となった昨季は初の開幕投手を務め、前半戦から順調なスタートを切った。しかし、夏場を迎えると打ち込まれる場面も目立ち、思うように勝ち星が伸びなかった。

「やっぱり夏場はどうしても、自分の感覚よりも打者の反応というか、そんなに直球に強さを感じていなかったり、自分は悪くないと思っていても、そんなに球が来ていないと感じることもあったので。それは完投した試合でもそうですね。そういったところを考えると、やっぱりまだまだ弱さがあったのかなと思います」

 2019年、結果的に両リーグトップの6完投を記録し、3年連続二桁勝利となる11勝をマークしたが、前年と比較すると全体的に数字を落とした。チームは4位に沈み、エースとして悔しい結果となった。