カープを象徴する選手と言っても過言ではない。人に優しく、自分に厳しい。謙虚で向上心を失わない。そんな大瀬良大地がカープの新選手会長に就任した。〝強いカープを取り戻すために必要なことは何か〟カープのエースが力強い言葉で語り始めた。(全4回のうち1回目・取材は2021年12月下旬)

今季から選手会長に就任した大瀬良大地。

◆ファンが安堵したエース残留。妻の思いも決断を後押し

─本誌取材は昨年の開幕前以来となります。まずはこの話から。昨年国内FA権を取得するも、権利を行使せずカープ残留の道を選ばれました。その理由を教えてください。

「FA権を取得したのが早かった(4月に取得)ので考える時間はかなりありました。いろんなことを考えましたが、ここまで選手として成長できたのはカープに入団して、いろんな方と出会い、支えてもらったからこそなんですよね。そう考えると、カープで野球を続けることが、自分にとって最善な選択ではないかと考えるようになりました」

─FA権の行使について誰かに相談されたのでしょうか?

「一番相談したのは妻ですね。あとはほとんどしていないです。FA権を取得された先輩に、決断した理由やどんなことで悩んできたかを聞いたりもしましたが、『お前の人生だから、自分自身と家族の気持ちが一番大事。しっかり悩んで、行使するにしてもしないにしても、後悔のない決断をしたらいいと思う』というアドバイスがほとんどでした。なので、最後は妻と相談して決めました」

─奥様からはどんな言葉を?

「妻は、『広島で生活することに慣れているからカープに残ってくれたらうれしい』とは言っていました。まぁ広島出身ですからね(笑)。ただ、『どんな決断をするにせよ、一緒に頑張ろうね』と言ってくれていたので、しっかりと自分の気持ちと向き合うことができました」

─カープ残留を宣言される数日前に、佐々岡真司監督と、同じく国内FA権を取得し動向が注目されていた九里亜蓮投手と食事に行かれていました。そこではどんな話があったのでしょうか?

「監督からは、シーズン中から『カープに残ってほしい』という話はいただいていました。その食事の席でも、気持ちを改めて伝えてくださいました。正直なところ、この時、僕の中では〝カープに残る〟という気持ちに固まりつつあったので、『残る方向で前向きに考えます』という言葉を監督に伝えました」(続く)

◆大瀬良大地(おおせら だいち)
1991年6月17日(30歳)/187cm・90kg/右投右打・投手/長崎県出身/長崎日大高-九州共立大-広島(2013年ドラフト1位)