思わず心を奪われる、美しい放物線を描く本塁打は、希望に満ちたカープの未来を予感させてくれる。4番候補の一人と呼ばれる林晃汰にとって、今季はレギュラー奪取に向け、勝負の一年となる。決して器用な選手ではない。泥臭くガムシャラに野球に取り組む若きスラッガーが思い描く未来図とは。（全3回のうち3回目・取材は2022年2月上旬）
◆最低限の仕事はできた。ただ、納得はしていない
（2回目から続く）
─昨年は東京五輪の中断期間に調子を崩し、打てない時期が続きました。そんな中でも後半戦、ある程度の結果を残したという経験は自信になったのではないですか？
「正直、昨年の後半戦に関しては納得のいくバッティングはできませんでした。ただ、試合に出してもらっている選手として、最低限の仕事はできたかなと思います。そこは自信にしたいですが、納得はできていません」
─オフは松山竜平選手と自主トレを行われました。どんなテーマで練習に取り組んできましたか？
「いちから体を見直すという意味で、いろんなことに挑戦しようと思いました。その一つとして、野球以外のスポーツも練習に取り入れてみました」
─具体的にどんなスポーツを？
「バレーボールをよく使っていました。守備の際の送球を安定させるために投げ方を変えたいと思っていたなかで、バレーボールを使った練習に取り組んだところ、新しい気づきを得ることができました」
─その守備ですが、キャンプではどんな課題を持ち、サードの守備練習に取り組んでいますか？
「正直なところ、送球や捕球を含め、全てです。一軍のサードを奪うためにはまだまだレベルアップが必要だと思うので、キャンプではやれることを全てやりたいと思っています」
─黒原拓未投手に小林樹斗投手、智弁和歌山高出身の選手が多いことも刺激になっているのではないですか？
「そうですね。2人とも素晴らしい投手なので、打者の自分も負けていられないという気持ちを強く持つようになりました。まだレギュラーとして認められたわけではないので、しっかりと声を出して、全力でプレーしていきたいと思っています」
─昨年、本誌の企画で実施した小園選手との対談で、「2021年に点数をつけるなら60点」と言われていました。今季100点に近づけるために、どんな結果を残したいですか？
「サードのレギュラーを勝ち取り、全試合に出たいです。それを達成すれば、自ずと数字もついてくると思うので、とにかくそこを目標にやっていきたいですね。元気とガムシャラさを忘れることなく、昨年の成績を上回り、１試合でも多くチームの勝利に貢献できるように頑張ります」
◆林晃汰（はやし こうた）
2000年11月16日生（21歳）／和歌山県出身／182cm・101kg
右投左打／内野手／智弁和歌山高ー広島（2018年ドラフト3位）
