広島市内を中心に、総合スポーツ用品店の老舗として知られる体育社。同社は連載第1回目の前回記事で紹介したように、特に野球用品に力を入れている。

 野球用品のすべてにおいて豊富なラインナップだが、中でもグラブに関しては4階の売り場すべてをグラブが埋め尽くすほどのこだわりだ。

 初めてその売り場を目にした人たちはもちろん、今回取材を敢行している編集部員も毎回その圧巻の景色に圧倒される。グラブを扱うスポーツ店は数多く存在するが、グラブの種類、メーカーの種類、グラブメンテナンスに関する商品まで、他店の追随を許さない品数である。

 さらに体育社の特徴として、豊富な品揃えのみならず、グラブ修理・メンテナンスに関しても強いこだわりと高い技術力を誇っており、数多くのプレーヤーから熱い信頼が寄せられている。

 体育社、そしてスタッフの野球用品・グラブに対する熱い思いは、どのようなものなのだろうか?

 連載2回目となる今回は、グラブリペアマンも務める同社の榎龍成さん、黒木厳汰さん2名の若手スタッフに、グラブの修理やお手入れ方法、グラブに対する熱い想いを存分に語ってもらった。

体育社 広島BASEの4階にある修理工房

◆こだわり① 資格以上の技術によるグラブの修理

ーグラブの修理とはどういったことをされるんでしょうか?
榎「紐が切れたら紐の修理、グラブが破れたら破れの修理、ウェブ(※グラブの人差し指と親指の間部分のパーツ)が破れたらウェブを部分的に作ったり、そういったことを基本的に行っています」

ー修理に持ってこられる方はどのような方が多いですか?
黒木「中学生から高校生、大学生と学生の方が多いですね。小学生もときどきいらっしゃいます。『グラブのことはよく分からない』という初心者の方から、知識レベルの高い方までいろんな方がご来店されます」

ー学生さんの場合、お1人でいらっしゃるんでしょうか?
榎「修理であれば学校帰りに1人で来店されることもありますし、ご購入であれば親御さんとご来店されることが多いと思います」

ー修理の程度によって違うとは思いますが、修理の期間の目安を教えてください。
黒木「例えば、破れの場合だったら、だいたい1週間ぐらいです。紐の交換であればその日中にお渡しできたりもするので、『そんな早くできるんですか』と言っていただけることもあります」

ーどのような感じで修理に持ってこられるんでしょうか
黒木「詳しい方は具体的にご依頼されますし、『どうにかならないですか?』と、ざっくりした感じで来られる方も多いです。どんな些細なことでも、気軽に相談していただければと思っています」

ーグラブは修理だけでなく買い替えのタイミングもあると思うんですが、どのように判断されてるんですか?
榎「例えば破れの修理と紐の交換など重なった場合、1万円超えるケースもあります。その全体の指先の強度などを確認して、買い替えをおすすめする場合もあります」

ー必ずしも買い替えをおすすめするわけではないんですね。
榎「そうですね。やはりグラブに対して愛着が湧いてるお客様も多いので、できるだけお客様それぞれの思いを大切にしたいと思って、接客させていただいています」

どのような状態のグラブでも修理できるが、お客様の想いを大切に対応している。

ースタッフのみなさんは、修理の資格がある方も多いとお伺いしました。
黒木「なかなか店頭を離れることができないので、自分はまだ資格を取りに行けていないんですが、当社で早い段階から教えていただいたので、自分で言うのもなんですが資格以上のものはもっていると思います(笑)」

ー他店さんとの違いはなんだと思われますか?
黒木「クオリティの差だとは思いますね。例えば『他の大型量販店さんで修理してもらったけど、またすぐに壊れちゃったので体育社に持ってきた』と仰っていただくこともあるので」

ーそれは具体的にはどういった修理なんでしょうか
榎「ウェブの修理ですと、ウェブの一部を体育社で作ったりすることもあるんですが、できるだけ新品のグラブに劣らないぐらいのものを作る勢いで作業するので、見る人が見れば全然違うと思います」