勝てる投手になるために考え続けた4年間。大学で成長を果たした左腕がプロの世界に挑む。カープのレジェンド左腕・大野豊氏が身につけた『24』を受け継いだドラフト1位の即戦力投手。勝負の1年目に懸ける意気込みを聞いた。(全3回のうち1回目・取材は2022年2月上旬)

先発でもリリーフでも、どんな場面の登板にも役目を全うするタフさを併せ持つ黒原拓未。

◆良いチームに入団できた。プレーしやすい環境に感謝

─1月7日の入寮から新人合同自主トレ。そして2月1日には春季キャンプインとあっという間の一カ月だったと思います。ここまでのプロ生活を振り返ってみていかがですか?

「大野寮での生活が始まり、先輩選手と練習するうちに、じわじわとプロ野球選手になったという実感が湧いてきました。最初は先輩方と話すのに緊張もありましたが、皆さん優しいですし、僕たち新人がプレーしやすいように接してくださるので、良いチームに入団させてもらえたと感じています」

─春季キャンプは一軍スタートとなりました。初のキャンプ、どんな課題を持って過ごしていますか?

「投げることも大事ですが、まずはプロで1年間戦っていくうえで基盤となる体づくりを意識しています。ケガをしないこともプロ野球選手として大切な要素だと思っています」

─キャンプ初日からブルペンに入りました。プロの捕手を相手に投球してみて手応えはいかがですか?

「しっかりと力を入れて投げることができているので体の状態は良いです。ブルペンでは、捕手の方が、緊張しないようによく声をかけてくださるので、その言葉に助けられていますし、そのおかげで、自分の持ち味を監督やコーチに見せることができています」

─大学時代は150キロを超えるストレートと鋭いカットボールを武器に4年春のリーグ戦ではエースとして5勝をあげてMVPを獲得されました。キャンプでアピールしていきたいことを教えてください。

「ストレート、カットボール、チェンジアップの3球種は自信のある球なので、まずはその球をしっかりと腕を振って投げられるようにしたいです。第1クールで受けてもらった石原(貴規)さんにも『良い感じで投げられているよ』と言ってもらえたので、自信を持って投げていきたいと思います」

─入団前に取材した際にはスライダーも持ち味だと言われていました。

「もちろんスライダーもプロで磨いていきたい球種の一つです。〝いつでもカウントが取れる投球〟が理想なので、直球も変化球もしっかりと投げ込んで精度を上げていきたいです」(続く)

◆黒原拓未(くろはら たくみ)
1999年11月29日生(22歳)/和歌山県出身/173cm・76kg
左投左打/投手/智弁和歌山高-関西学院大-広島(2021年ドラフト1位)