近年カープのエースを語る上で、最もチームに貢献した投手の一人である黒田博樹。広島アスリートマガジンは黒田が現役時代、幾度も独占インタビューを重ねてきた。メジャー移籍前までを振り返った前編に続き、今回はメジャー時代から現役引退までを、黒田が本誌に語った言葉と共に振り返る。
2008年、米大リーグ・ドジャースへ移籍した黒田は、メジャーのマウンドでも先発として活躍し続けた。2012年には名門・ヤンキースへ移籍し、2球団を跨いで自己最多の5年連続二桁勝利を記録するなど、メジャー7年間で積み上げた勝ち星は79勝。広島のエースは世界の黒田となった。
ちなみにメジャー時代の黒田は本誌に二度登場しており、メジャー2年目を終えた2009年オフには当時解説者の佐々岡真司氏(現カープ監督)との〝新旧エース対談〟が実現。その中では、カープ復帰に対する思いにも言及している。
【佐々岡】「広島のファンとしてはマウンド上で投げるクロ(黒田)の姿を見たいし、先の事は考えないとは思うけどシーズンを目一杯やっても、契約が切れる2011年には帰ってきてくれると待っている人もいるよ」
【黒田】「どうですかね(苦笑)。自分がそういう気持ちでマウンドに上がってシーズンを終えたとき、どういう結果になるかでまた気持ちも変わってくると思います。そのときの素直で正直な気持ちで決めたいなと。ただ、鳴かず飛ばずの結果で帰ってくることだけはしたくないので、もし帰ってくるにしても、ある程度結果は残さないといけないと思います」
本誌対談での発言は6年後に現実のものとなった。2014年12月、メジャーからの高額オファーを蹴ってカープ復帰を決断。対談で語っていた通り“バリバリのメジャーリーガーとしての復帰”はカープファンのみならず、日本全国の野球ファンを驚かせた。そして迎えた2015年シーズン、黒田の登板日には連日大勢のカープファンがスタンドを埋めていた。
「それだけたくさんのファンの人に迎えられてマウンドに上がるということは、本当に幸せなことだなと自分でも思いました。実際そのマウンドに上がって、球場の雰囲気を味わうことができて、本当に帰ってきて良かったなと思いましたね」
黒田復帰に沸いた2015年はカープファンが夢見た、前田健太とのダブルエースがついに実現。24年ぶり優勝への機運は最高潮に高まった。黒田は11勝、前田は15勝と期待通りの活躍を見せたが、チームは4位に沈んだ。