先発3本柱と絶対的守護神がいるカープ投手陣。昨季、課題だった7回と8回、四球減をどう解消するか。浮上のカギを握る投手陣の陣容を見ていく。

今季から投手キャプテンに就任し、投手陣をまとめるリーダーとしての期待もかかる九里。今季は同学年の大瀬良と共にカード頭の先発を任されそうだ。

◆「四球減」を1年間徹底できるかもテーマの一つ

 昨季、故障などに苦しみながらもリーグトップタイのQS20回(QS率87%は単独トップ)で安定感抜群の大瀬良大地、昨季最多勝を獲得したタフネス右腕・九里亜蓮、昨季8勝止まりもリーグ2位の投球回でリーグ4位の防御率2.98、QS19回を数えた森下暢仁の3人に、キレを増した真っ直ぐプラス、昨夏解禁したパームボールと大瀬良から伝授されたカットボールも好感触の床田寛樹を加えた「先発4本柱」はリーグ屈指と言っても過言ではない。

 この4人にしっかりと仕事をこなしてもらったうえで玉村昇悟、遠藤淳志、小林樹斗、高橋昂也の高卒カルテットの成長に期待したいところ。シーズン中どこかで、実績のある野村祐輔、新外国人選手のアンダーソン、新人の森翔平も絡んでくる状況が考えられるが、しばらくの間は5・6番手は手探りとなりそうだ。

 抑えは栗林良吏で決まりで、その栗林にどうつなげるかだが、7・8回を投げる候補は多い。まずは昨季終盤、本来のポテンシャルを発揮しはじめた島内颯太郎。多くのプロ野球OBも絶賛するその球質で8回の有力候補となる。ルーキーながら多彩な変化球を駆使。制球力もありマウンド度胸も◎の松本竜也も面白い存在だ。

 3連覇時の守護神・中﨑翔太も戻ってきた。球速は全盛時と比べても遜色ない150キロ前後にまで復活。なにより通算115S、66Hを積み上げてきた経験値が頼もしい。160キロ右腕のコルニエルも候補の一人か。右腕では他にも、昨季40試合に登板した5年目のケムナ誠、ロングリリーフもできる大道温貴も早めのタイミングで加わってくることが予想される。

 左の中継ぎは、昨季チーム最多の54試合に登板、キャンプで左打者への内角球とセットポジションを磨き直した森浦大輔と塹江敦哉の二人に、パワー系のドラ1ルーキー・黒原拓未の3人衆。ここに、今年も出遅れてしまったフランスアと新外国人選手のターリーがどこで加わってくるかで中継ぎ事情は大きく変わりそうだ。

 今季からチームに復帰した高橋建一軍投手コーチが掲げる「四球減」を1年間徹底できるかも大きなテーマのひとつ。チーム全体としての取り組みを浸透させバッテリー間で徹底できるか。特に成長著しい若手投手陣の結果は、その課題とどう向き合えるかに懸かってきそうだ。

文/小林雄二