熾烈なFWサバイバルから開幕戦スタメンを勝ち取った鮎川峻。サンフレOBの佐藤寿人氏も「楽しみなストライカー候補」として彼の名を挙げる。小柄だが一瞬のスピードで裏を取り、ゴールへの嗅覚も鋭い。偉大なストライカーの背中を追いかける20歳の挑戦を届ける。(全4回のうち3回目・取材は3月上旬)

2021年2月の仙台戦でプロ初出場を果たすと、翌3月には大分戦でプロ初ゴールを決めて一躍注目を集めた鮎川峻。2022年は開幕からスタメンに抜擢されると、ストライカー候補として躍動を続けている。

◆状況が大きく変わった2021年シーズン

―では、昨季を振り返ります。昨年12月、「今年は昨年に比べ、見ている景色が違っていたり、経験できたものの種類が違っていたりと自分の中で変化が現れた1年でした」とインスタグラムに投稿されていましたね。

「2020年は1試合も出場できていなかったので、昨季は初スタメンや初ゴールを決めて、自分の中で大きく状況が変わったと感じるシーズンでした」

―初めて試合に出たときのことを覚えていますか?

「開幕戦(2021年)で初めてJリーグのピッチに立ったのですが、途中出場で短い時間でしたし、そのときは、〝何も貢献できなかった〟という思いしかありませんでした。次のルヴァンカップで初めてスタメン出場の機会があり、そこで少し自信がつきましたが、攻撃面ではチャンスをモノにできず悔しかったことを覚えています」

―その後、3月21日の大分戦でプロ初ゴールを決められています。試合を決定付ける3点目でした。

「チームがシーズンで初めて逆転勝利できた試合でしたし、城福(前)監督の60歳の誕生日でもありましたから、この日、僕が初ゴールをあげられたということに特別なものを感じました。いい流れができていた中で貴重な追加点を決めることができてすごくうれしかったですね。みんなが祝福してくれて、最高の瞬間でした」

―これもインスタグラムで拝見したのですが、モットーは『岐路に直面したとき、困難な方を選べ』だそうですね。

「これは父に教わった言葉です。最初に聞いたときは子どもだったので、当時は意味が分からなかったのですが、今になるとよく分かります。サッカー中心の自分の生活の中で、常に頭の片隅に置いて愚直に守ってきました」

―今季は永井龍選手もケガから復帰されました。FWのポジションはますます競争が激化していると思います。意気込みを聞かせてください。

「チーム内で競争が生まれているのは良いことだと思います。そんな中で開幕スタメンに入ることができたのは、自分にその力があるということだと思って、自信を持ちながら日々競争に挑んでいきたいと思っています」

―3月のU-21日本代表候補トレーニングキャンプにも選出されました。どんなアピールをしていきたいですか?

「チーム内で活躍するだけではなく、日本代表としてパリ五輪出場を目指しています。代表のトレーニングキャンプにはJリーグでの出場経験が自分より多い選手がたくさんいるので、そういう選手から良い部分をたくさん吸収したい。そして、一番良いプレーでアピールをして、競争に打ち勝っていきたいと思います」(続く)

《プロフィール》
鮎川峻(あゆかわ しゅん)
2001年9月15日生 愛知県出身/FW
●2021年成績
サンフレッチェ広島/19試合・1得点
※記録はリーグ戦のみ。