開幕戦でスタメン起用されるなど、一軍で活躍を続ける末包昇大

 今季、開幕戦で見事にスタメンの座を射止めたドラ6・末包昇大。開幕戦で猛打賞を記録すると、4月2日の中日戦ではプロ初本塁打を記録。現時点では鈴木誠也が去ったあとのライトのポジション争いで頭一つ抜け出した格好だ。

 高松商、東洋大、大阪ガスを経て入団した末包。5月で26歳を迎えるオールドルーキーだが、実は打者として注目され始めたのは社会人時代の2020~2021年頃から。東洋大ではリーグ戦17試合に出場し、打率.162、0本塁打と目立った数字を残していなかった。

 それでも名門・大阪ガスに加入できたのは、よほどの潜在能力が見込まれたからだろう。188cm110kgの破格のサイズを持つ末包。佐々岡監督も「まだまだ粗い」と評するが、プロ野球選手としての成長はこれからだろう。

 近年のカープでは、鈴木誠也や丸佳浩、坂倉将吾など20代前半から大活躍する選手が目立っているが、20代後半~30代で一気にブレイクした選手も珍しくない。改めて歴代カープの晩成型の野手を振り返ってみたい。

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◆山本浩二

 「ミスター赤ヘル」こと山本浩二もアラサーで大化けした一人だ。

 1969年に法政大から鳴り物入りで入団したものの、1年目は120試合に出場し、打率.240、12本塁打。センターとしての守備力も高かったため、スタメンから漏れることはなかったが、若手時代は打率2割半ば、20本塁打前後の中距離打者だった。

 打者として成長が始まったのは、28歳で迎えたプロ7年目。打率.319で首位打者を獲得すると、初の30本塁打に到達。

 30歳になった1977年に44本塁打を放つと、5年連続で40本塁打超を放ち、確固たる主砲へと成長を遂げた。

◆緒方孝市

 20代後半から3年連続で盗塁王に輝いた緒方前監督も打撃の絶頂期はアラサーになってからだった。

 それまでも高い出塁率を記録していたが、30歳で迎えた1999年に長打力が爆発。主に1番打者として、132試合に出場し、打率.305、36本塁打をマーク。自身初の30本塁打に到達した。

 2000~2001年は右膝や左太ももの怪我で出場機会が激減したが、2002年には再び3割20本塁打に乗せて復活。30代半ばにして4年連続20本塁打を記録している。

 ちなみに2000年に代役としてブレイクを果たしたのは、28歳の木村拓也。プロ10年目のシーズンだった。

◆嶋重宣

 「赤ゴジラ」の異名で知られた嶋重宣のブレイクもやや遅め。2003年までのプロ9年間で110試合にしか出場していなかったが、28歳になる2004年にスタメンに定着。その年、137試合に出場し、打率.337、32本塁打を記録。一気に本格化を果たした。

 そもそも1994年にドラフト2位で東北高から入団した際は投手。1999年に野手転向し、バットに磨きをかけてきた。それでも厚い外野層に阻まれ、ブレイク前年の2003年オフには戦力外になりかけている。

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 冒頭の話に戻るが、末包昇大は25歳、ドラ3・中村健人も24歳。ルーキー以外にも20代半ば~後半の逸材は多い。昨季は不振に終わった堂林翔太もまだ30歳。歴代の名選手に照らし合わせれば、彼らはこれから脂が乗って来る時期だろう。