巨人戦での3連敗こそあったものの、カープにとっては上位戦線に食らいつく戦いが続く。しぶといカープ野球の根幹は、「スカウティング」と「育成」であろう。即戦力ルーキーが躍動し、叩き上げの下位指名選手も力強い全力プレーを見せる。

2018年ドラフトでは小園選手をはじめ(前列左端)、高校生野手を多く指名した。

 そんなカープの「スカウティング」について、3月30日に発売された新刊『眼力 カープスカウト 時代を貫く惚れる力』(サンフィールド)の著者である坂上俊次氏(中国放送)が、“流しのブルペンキャッチャー”としてドラフト候補選手の球を受けながら取材するスポーツジャーナリスト安倍昌彦氏とカープドラフト、スカウトについて対談を展開した。

 連載4回目の今回は、2018年のドラフトにまつわる話題で盛り上がった。

◆左打者同士はライバル意識が強い!?

坂上「小園海斗選手、林晃汰選手、羽月隆太郎らが指名された2018年のドラフトの後、安倍さんは『野手をグッと固めてきた』と話されていました。カープ大野寮の寮長である道原裕幸さんは『この代の選手はよく練習する』と言っていました。さらに『よく練習するのに、誰か1人がやると、もう1人がやる。夕飯を食べた後もまたみんなバットを振り込んでいる。こんなことはなかなかあるものではない』と話されていました。それぞれ性格もあると思いますが、同じポジションで競いあったり、影響を与え合うというのは、大きいことなんだなと思いました」

安倍「彼らは同じ左打者だからかもしれませんね。特に左打者の場合はポジションが仮に違っていたとしても、同じ左ということで、負けまいとするでしょうし、ライバル意識が出てくるのでしょうね。特に左打者同士は、横目で周りを見ながら、“アイツが動いたら、オレも動いてやる”みたいな。そういう競争心、ライバル意識というのが、特に左打者に多いような気がしますね」

坂上「なるほどですね。そう考えると小園選手、林選手はこれから中核になっていくことが期待されますね。彼らがルーキー時代に二軍でプレーしていたときに見ていたのが、今季から一軍野手総合コーチの東出輝裕氏です。そういう意味では、共通の価値観を持って一軍に上がってきているような気がします。この選手たちがチームの核になると、本当の意味で次の時代が始まるのではないかと感じます」

安倍「小園選手と林選手は、高校時代からものすごくお互いを意識していた関係だと思います。小園選手は報徳学園高の3番を打っていて、林選手は智弁和歌山高の4番を打っていました。しかも同じ関西地区で、“オレはあいつより絶対に上手くなってやるんだ”と横目で見ながら、腕を競ってきた2人だと思います。それは今でもそうでしょうし、この先もずっと高校時代のライバル意識というものが根底にあり、競いあっていくような気がします」(第5回に続く)