39試合を戦って22勝16敗1分で、セ・リーグ2位のカープ。OBの笘篠賢治氏に、5月に入り打撃の調子を上げてきた小園海斗について語ってもらった。

開幕からレギュラーとして活躍を続ける小園海斗(今季の春季キャンプで撮影)

◆5月10日の阪神戦での打席で小園に求めたかったこと

 5月7日のDeNA戦から4連勝で、一時は首位に返り咲いたカープ。徐々に本塁打が出るようになり、ますます面白い戦いを見せてくれています。

 本塁打といえば4番のマクブルーム。5月8日のDeNA戦の2本塁打もすごかったですが、5月10日の阪神戦で西勇輝から放った本塁打も見事でした。

 ボール球に手を出して追いかけていくのではなく、フルカウントまでカウントを整えて、ストライクを取りに来たスライダーが甘く入ったところを仕留めての1発。この打席のように、カウントの作り方がうまいのがマクブルームの良いところだと思いますね。

 不振に喘いでいた小園海斗の状態も上がってきており、打率も2割台に乗りました。低くて強いゴロやライナー性の打球が増えており、打撃の内容が良くなってきました。

 以前のように簡単にフライを打ち上げてしまうことが減り、これまで以上に打線に流れが生まれているように感じます。この調子で下位打線を支える存在になってきたら、より打線に厚みが増してきますね。

 ただ、小園に関して、ひとつ気になったのは5月10日の阪神戦。8回表に西川龍馬が死球で出塁し、続くマクブルームが安打、そして坂倉将吾が死球で無死満塁となったシーンでの打撃です。

 この場面で小園はインコースのボール球を引っ張って適時打としましたが、西川、坂倉とすっぽ抜けて死球にしていたので、バッテリーとしたらインコースは投げにくい場面でした。

 しかし、捕手がアウトコースに構えながらも、球が抜けてまたしてもインコースに。この球を小園が積極的に打ちにいき安打にしたのですが、本来であればアウトコースの真っ直ぐかスライダーに絞り、逆方向を狙いたいケースでした。

 結果的には追加点をあげる良い打撃ではありました。ただ、裏を返せば、普通はバットが止まる球ではあります。今は若くて積極的に打ちにいくのが小園の魅力ではありますが、そのあたりの考え方というのも磨いていくことで、さらに良い打者に育っていくと思いますね。