40試合を戦って22勝16敗2分で、セ・リーグ2位のカープ。OBの笘篠賢治氏に、3番打者として打線を牽引する西川龍馬について語ってもらった。

開幕からレギュラーとして活躍を続ける西川龍馬(今季の春季キャンプで撮影)

◆相手の守備陣形を考えて、うまく転がした先制打

 5月11日の阪神戦で目を引いたのは初回の西川龍馬の先制打。この一打は、西川らしいチームバッティングだったと思います。

 1死三塁から、アウトハイの球を無理やりショートへのゴロにして、結果内野安打に。守備のポジショニングなど、いろいろな状況を考えると、打球を三遊間に転がすというのが、得点が入る最も高い確率の選択肢だったと思います。それを第一打席からできるのは素晴らしいですね。

 そして、何度も言っていますが、オーダーを組むにしても、投手交代のタイミングにしても、去年とは違い、采配の意図がしっかりと見てとれます。

 同じく11日の試合。9回表1死三塁のシーンで、“スクイズでもしたら面白いな…”と思っていたところ、佐々岡真司監督はスクイズを仕掛けていきました。

 結果的には失敗となってしまいましたが、なんとしても1点が欲しいという場面だったので、狙いとしては良かったと思います。選手任せではなく、ウエストされたら自分の責任だと監督が思っているからこそ、思い切った采配ができたのだと思いますね。

 ここ最近の試合をみると、盗塁こそありませんが、小技を使いながら1点をもぎ取っていく野球ができていますし、走塁意識もしっかりと持てていると思います。

 今はクリーンアップに打点がつくような戦い方をするのが大切ですし、そこに下位打線が機能していくと、相手チームからすると気が抜けない打線になります。今の勢いを維持したまま、5月下旬から始まる交流戦を迎えたいですね。