リーグ3連覇時、カープ打線不動のリードオフマンとして活躍した田中広輔。2016年からの3連覇の主力として活躍し、選手会長も経験した背番号2は、ここ数年は故障の影響もあり不本意なシーズンを送っている。

 開幕から好調な戦いを展開していたチームは、若手選手の躍動もあり6月27日時点でリーグ3位。プロ9年目を迎えた実力者は、若手を支え続けながら復活に燃えている。(取材は4月下旬)

今シーズンは代打や代走での出場機会も増加。ここぞという場面を任された田中広輔。

◆若手の多いチームを支え、完全復活を目指す

ーー今季チームは開幕6連勝を記録するなど、非常に良いスタートを切りました。開幕から1カ月を過ぎて、チームの戦いぶりをどのように感じていますか?

「本当に若い選手が頑張ってくれたおかげですし、ここまで良い勝ち方もたくさんあると思います。まだまだという面もありますが、投手陣がしっかり頑張って、野手陣が守って勝つという試合が多いからこそ、シーズン序盤は勝ちが先行して良い位置にいるという印象ですね。若い選手は良い意味で怖いもの知らずですし、良い経験をしていると思います」

ーーチームが好調な戦いを展開する中、ベンチ内の雰囲気はいかがでしょうか?

「ベンチでの雰囲気で言えば特別変化があるわけではないですね。若い選手がプレーしやすい環境は変わらずありますし、やはり勝ちが多くなってくることで、より良い雰囲気の中で戦えています」

ーー今シーズンは3年ぶりに観客人数の制限がなく公式戦が行われています。この状況についてはどう感じていますか?

「やっぱりファンのみなさまにスタジアムを埋めていただく中でプレーすることができるのは、本当にありがたい事だと感じています。特にここ数年で一軍に上がってきた若い選手は、このような環境でのプレーは初めてであったりするので、いろんな事を感じてほしいと思いますね」

ーー今季ここまでの田中選手について伺います。キャンプ前には新型コロナウイルス感染というアクシデントがありました。

「感染してしまったことは仕方がないと思っていました。幸い症状はなかったので、完治してからしっかりと動ける準備をしなければならないと思っていました」

ーー復帰後、キャンプは二軍で過ごされましたが、調整に関してはどんな感触がありましたか?

「復帰当初は完治明けということもあって、比較的ゆっくりと練習をやらせてもらいました。そういう状況でしたが、やりたい練習ができた中で、落ち着いて自分の課題にも向き合うことができた充実したキャンプでした」

ーーシーズン開幕後、ご自身の打撃面の感触はいかがですか?

「状態自体はすごく良いですね。少ないチャンスをモノにできるようにと常々考えて打席に臨んでいます。特別意識をしていることはありませんが、打席数が少ない中で、まずは悔いが残らないように、1打席1打席に集中して、自分の持てるパフォーマンスを最大限発揮しようと思っています」

ーー試合終盤の緊迫した場面からの出場もあります。

「これまでにいろんな場面での修羅場を経験させてもらっているので、それに比べれば大丈夫という気持ちがありますね。日々、しっかりと準備をして出場すれば大丈夫だと思って臨んでいます」(後編に続く)

田中広輔(たなか こうすけ)
■1989年7月3日生、神奈川県出身
■171cm・84kg/右投左打
■内野手/プロ9年目・32歳
■東海大相模高-東海大-JR東日本-広島(2013年ドラフト3位)