4月2日の中日戦でプロ初本塁打、5月8日のDeNA戦では初の満塁本塁打を放った期待のルーキー末包昇大。得点圏打率も3割を超えており、勝負強さも併せ持つ大砲の『今』に迫った。(データは全て取材時点のもの)

目標の選手は鈴木誠也と語る末包。社会人時代には鈴木のフォームを参考に打撃練習を重ねた。

◆迷いは吹っ切れた。悔しさを糧に成長を

 ルーキーながら、開幕戦のスタメンに抜擢された末包昇大。今季のチーム初得点となる先制打を含む3安打1打点の活躍を見せ、堂々のデビューを飾った。開幕スタメンでの初打席初安打初打点は、球団新人では1961年の山本一義以来61年ぶりの記録。また、セ・リーグ新人選手の開幕戦3安打&決勝打は史上初の快挙となった。

 昨年まで鈴木誠也の定位置だったライトを任され、6試合連続安打を放つなど、4月終了時点での成績は打率.333、19安打、1本塁打、6打点と即戦力野手の評判通りの数字を残し、チームの開幕ダッシュに貢献した。

 しかし、5月以降はスタメン出場が減っていった。5月8日のDeNA戦(マツダスタジアム)で満塁本塁打を放つなど、出場のたびに結果を残してはいたが、少しずつ起用の幅が狭まっていき、5月23日に一軍登録抹消となった。

「一軍で通用する部分もありましたが、凡打の内容が悪い時があり、それが目立ってきたので二軍調整になったと思っています」

 それが顕著に表れたのが5月18日・巨人戦(東京ドーム)の打席。8回に代打で出場するも、デラロサの前に3球三振。3球全て外角低めの同じコースに変化球を投げられ、あっけなく空振り三振に終わった。これが二軍降格前の一軍での最後の打席となった。

「二軍では、変化球の見極めを含めた選球眼を鍛えること、そして広角に打つことができるように打撃練習に取り組んでいます」

 球の見極めと広角を意識するあまり、末包の持ち味である長打力が影をひそめ、二軍の試合で安打の出ない日々が続いた。三振も多く、気の迷いが豪快なスイングを鈍らせているようにも感じた。

 しかし、6月1日のオリックス戦(二軍・由宇)で約1カ月ぶりの本塁打。ようやく出た長打がスラッガーに自信を取り戻させた。

「二軍に落ちた時は、これからどうしていったらいいのかと迷う時間も多かったです。もちろん吹っ切れない思いもありました。ただ、降格から1週間経った頃、自分の中で目指すべき方向性が見えてきました。その中で本塁打が出たので、この1本を復調のきっかけにしたいと思います」

 課題は一軍クラスの投手が投げる変化球への対応。ムードメーカーも担うスラッガーの自信に満ちた姿を、一軍の試合で見ることができる日を楽しみに待ちたい。

■すえかね・しょうた
■1996年5月27日生(26歳) ■188cm/110kg
■右投右打/外野手 ■香川県出身    
■高松商高-東洋大-大阪ガス-広島(2021年ドラフト6位)