昨季まで、主に鈴木誠也(現カブス)が担っていたカープの4番。主砲が抜けた穴が心配されたが、その4番にシーズン序盤から座っているのが新外国人選手のマクブルームだ。

 パワーが自慢だが、決して大振りはせず、“つないでいく”チーム打撃で勝利に貢献。29試合連続出塁を達成し、5月には自身初の満塁本塁打を放つなど、今やカープ打線に欠かせない存在となっている。

 チームメートからも愛されるナイスガイの思いを独占インタビューで届ける。(全3回のうち第1回)

◆最高の街、最高の球場で野球ができる喜び

─3月30日の阪神戦(マツダスタジアム)から4番でのスタメン出場が続いています。4番を打つうえで意識していることを教えてください。

「4番を打たせてもらっていますが、4番打者だからこうでないといけないという意識はありません。逆に4番打者を特別な存在と捉えてしまうと、プレッシャーが力みにつながり、うまくいかないことのほうが多くなってしまいます。なので、4番ではなく“4番目に打っている打者”として打席に入るように心がけています。試合に挑むうえで常に考えているのは、相手投手に強い気持ちを持って向かっていくこと、そして、やるべきことを全うし、チームの勝利に貢献すること。そこに意識を集中させています。なので、4番だからと特別意識していることはありません」

7月3日の巨人戦ではサヨナラ2ランを放つなど、打線の中心として活躍している。

─29試合連続出塁(4月13日〜 5月21日)を記録しました。7月上旬の時点でもチームトップクラスの出塁率を誇っていますが、これも“その意識”あってのものでしょうか?

「毎試合、打席の中で力まず、つなぐ気持ちを持ってやってきた結果として、29試合という数字がついてきたのだと思います。打席で意識しているのは、長打を打とうと大振りをするのではなく、しっかりと球を見極めて出塁すること。そこに関しては、カープ入団後もこれまでと変わらないスタンスで取り組んでいます」

─これまでさまざまな日本人投手と対戦されてきましたが、日本でやっていけると手応えを感じた試合はありますか?

「特にこの試合というのはありません。自分にとって毎日が初めてのことばかりなので、毎日球場に来て一生懸命練習して、試合で一生懸命プレーすることを意識しています。自分が持っている力を、全ての試合で出し切ることを心がけていますし、今の自分の力以上のものを出そうとしてもなかなかうまくはいきません。とにかく自分ができることにフォーカスして、目の前の試合に挑むようにしています」

─では日本の投手に対してはどんなイメージを持たれていますか?

「初めて対戦する投手ばかりなので、それぞれ違う印象があります。ただ、一つ言えるのは、日本には才能に溢れた投手が多いということです。一軍で活躍している投手はどのように打者を打ち取ればいいかを理解していますし、そのために何をすればいいかを分かっています。それが日本の投手の印象です。そういった投手から結果を残すために、自らのアプローチを大切にし、持てる力を最大限発揮できるように良い準備を重ねていきたいと思っています」

─打率、本塁打、打点などの数字で、マクブルーム選手が一番重要視している数字を教えてください。

「個人的には数字にこだわりはありません。塁に走者がいれば、なんとかして彼らを次の塁に進める。いなければ自分が出塁する。それを一番意識しています。そのためには相手投手に気持ちで負けていてはいけません。チームの勝利に貢献するため、投手に向かっていく姿勢だけは、打席の中でしっかりと見せていきたいです」

《プロフィール》
ライアン・マクブルーム
1992年4月9日生、アメリカ出身
190cm・99kg/左投右打/内野手/30歳
ウェストバージニア大-ロイヤルズ-広島
【今季成績】 60試合 打率.265 57安打 6本塁打 31打点