ヤクルトの独走が続く中、Aクラスに食らいつくカープ。後半戦ギアを上げるには、もう1段階ギアを上げる必要がある。

 シーズン終盤の負けられない戦いに向けて重要になってくる “リリーフ陣”の起爆剤として期待したいのが、助っ人3投手の活躍だ。

 ここでは、ホワイトソックス傘下で救援投手として43イニング登板の実績を持ち、今季カープ入りした左腕・ターリーを取り上げる。

2022年5月3日、巨人戦で来日初登板。翌月のDeNAでは初勝利も挙げた。

◆打者を圧倒する力強い豪速球! 試合の流れを変えてくれる助っ人

 カープがAクラス入り、そして優勝するために足りないもの ――。

 これまでの数字を見れば、その一つが「リリーフ投手」であることがよく分かる。 交流戦終了時点でチーム打率.249はリーグ2位。同26本塁打はリーグワーストだが、鈴木誠也の抜けた穴を『つなぎの意識』で補い、リーグ3位の224得点をマークするなど、シーズン前に不安視された打線は奮闘を続けている。

 一方の投手陣はというと、リーグ3位の防御率3.32をマーク。打線同様、チームがAクラスで踏ん張っている原動力となっている。 ただし、『リリーフ』に限ると話は別だ。

 2年目のクローザー・栗林良吏は今季も安定感を示しているが、そこにつなぐ勝ちパターンの投手をなかなか固定できない。 栗林と同じ2年目の森浦大輔が、5月下旬以降、セットアッパーとして奮闘しているものの、中﨑翔太を筆頭に実績のあるリリーフが本来の投球を取り戻せていない。

 防御率も、先発陣が3.21(リーグ2位)なのに対し、救援陣は3.59(同5位)と、数字だけを見ても『リリーフ陣の層の薄さ』は明らかだ。

 そんな中、活躍を期待されるのがフランスア、コルニエル、ターリーの助っ人3投手。

 3投手ともに『リリーフタイプ』なだけに、彼らが勝ちパターンでの登板を担う栗林や森浦とともに一軍ブルペンを支えることができれば、4年ぶりのリーグ優勝への道筋も見えてくる。

 来日1年目のターリーは、3投手の中で唯一メジャーでの登板経験を誇るが、2008年のドラフトでは50巡目の指名(全体1502位)と、決してアマチュア時代から評価が高かったわけではない。それでも、マイナーリーグ、米独立リーグなどでプレーを続け、2017年にツインズで悲願のメジャーデビュー。2020年にはパイレーツでプレーし、全てリリーフで25試合に登板。メジャーでは未勝利だが、来日1年目の今季も5月に一軍昇格を果たし、左のリリーフの一角にくい込んでいる。

 最速150キロを超える、日本では稀有な『左の本格派リリーバー』には、ブルペン陣の厚みをさらに増す働きが期待される。

《プロフィール》
N.ターリー
1989年9月11日(32歳)
193cm・104kg/アメリカ出身/左投左打/投手
ハーバード・ウェストレイク高- ツインズ-パイレーツ-3Aシャーロット-広島
【今季成績】
一軍/13試合 0勝1敗4ホールド 9回 8奪三振 防御率2.00
二軍/4試合 2勝0敗1セーブ 4回 6奪三振 防御率0.00