交流戦では苦戦するも、熾烈な上位争いを展開しているカープ。厳しい戦いが予想される後半戦に向けて、もう1段階ギアを上げる必要がある。

 シーズン終盤の負けられない戦いに向けて重要になってくる “リリーフ陣”の起爆剤として期待したいのが、助っ人投手の活躍だ。

 今回取り上げるのは、復活が待たれる2人のドミニカン。2018年のCSで胴上げ投手となったフランスア、2021年に支配下登録されたコルニエル。一軍復帰を狙う2の共通項とは ――。

 助っ人外国人特集・前編はこちら。

2018年には17試合連続無失点を記録するなど、カープ投手陣に欠かせない存在となっていたフランスア。

◆アカデミー出身選手の必殺技。球場の空気が変わる“すごいボール”の威力

 新助っ人のターリーが一軍で輝きを放ちつつある一方で、日本球界では“先輩”にあたるフランスア、コルニエルの2投手は苦しいシーズンを送っている。

 両投手ともにメジャーでの登板経験はなく、ともにドミニカ・カープアカデミーの出身。カープには育成選手として入団するなど、何かと共通点の多い2人だが、その才能を日本で開花させたのも共通項。

 フランスアはアカデミー在籍中の2016年に四国アイランドリーグの高知ファイティングドッグスに派遣されると、2018年にカープに入団。1年目から支配下登録を勝ち取り、左のセットアッパー、クローザーとして大ブレイクを果たした。160キロに迫る速球はもちろん、ブレーキの利いたチェンジアップの威力は絶大で、緩急を使った投球で三振の山を築く。

 しかし、4年目の2021年、新型コロナウイルスの陽性判定を受けて来日が遅れたあたりから暗雲が立ち込め始めた。同年3月には右ヒザを手術し、実戦復帰が6月までずれ込むと、一軍ではわずか8試合の登板にとどまった。

 今季は故障もあって交流戦終了時点で一、二軍ともに公式戦の登板はなし。

 SNSなどでは「フランスアは何してるの?」「早く帰ってきてほしい」と、復帰を熱望するファンの声も多い。

 コルニエルもまた、フランスア同様に“ジャパニーズ・ドリーム”をつかみかけている投手の一人だ。

 2020年秋に育成選手として入団すると、翌年3月には支配下登録。カープ入団後に球速が大幅アップし、同年6月20日には大谷翔平と並ぶNPB最速タイ記録(当時)の165キロをマーク。剛球を武器にシーズン50試合に登板し、一気にブレイクを果たした。

 しかし今季は開幕直後に2試合連続でリリーフに失敗し、以降は一軍から声がかかっていない。

 両投手に共通するのは「試合の流れを変えられる投手」だということ。

 ビハインドの場面であれ、僅差でリードした場面であれ、目に見えてわかる“すごいボール”を投げられる二人がマウンドに立つだけで、試合の雰囲気は一変する。

 また、今季はコロナ禍による特例で、昨季に引き続き、外国人の登録枠が5人(ベンチ入りは4人)なため、アンダーソン、ターリー、マクブルームに加えて、まだこの2人を登録できる受け皿もある。

 開幕からの好調を牽引し続ける先発投手陣に、交流戦あたりから徐々に疲れが見えてきているだけに、シーズン中盤、終盤にかけて、リリーフ投手が担う役目はさらに大きくなるはずだ。

 もちろん日本人投手の活躍も不可欠だが、今季上位を走るヤクルトにはマクガフが、巨人にはウォーカー、ボランコがいるように、強いチームには必ず強力な外国人選手がいる。

 ターリー、フランスア、コルニエル ――。

 3人の助っ人リリーバーが本来の姿を見せ、一軍のマウンドで躍動してくれれば、後半戦の戦いはさらに優位になるはずだ。

《プロフィール》
R.コルニエル
1995年6月23日(27歳)
194cm・101kg/ドミニカ共和国出身/右投右打/投手
ファウスト・ヒメネス・サンティアゴ高-アストロズ傘下-カープアカデミー-広島
【今季成績】
一軍/2試合 0勝0敗 3回 5奪三振 防御率12.00
二軍/4試合 1勝0敗1セーブ 4回 3奪三振 防御率2.25

《プロフィール》
G.フランスア
1993年9月25日(28歳)
186cm・102kg/ドミニカ共和国出身/左投左打/投手
セナペック高-アストロズ傘下ルーキーリーグ-カープアカデミー-広島
【今季成績】 一軍・二軍ともに登板なし