7月7日現在、38勝40敗でセ・リーグ3位につけるカープ。夏場の戦いに向けて、OBの笘篠賢治氏に、6月28日からのヤクルトとの3連戦で見えた課題、そして新加入の秋山翔吾がチームにもたらすものについて語ってもらった。

カープに加入した秋山翔吾

◆野球に対する高い向上心を持った選手

 一度は借金返済となったものの、6月28日からの首位・ヤクルトとの3連戦に3連敗。投打ともに状態は悪くはないのですが、力の差が出てしまいました。

 勝てるチャンスはあったと思いますが、もったいないと感じるシーンもいくつかありました。一つは6月30日の3戦目。10回裏、同点に追いついたあとの場面。

 ここで打席に立った上本崇司は6月の打率.411と絶好調でしたが、1死満塁から当てただけのような打撃で併殺打。なんとかしなきゃという気持ちは分かりますが、この場面は打撃が小さくなっているように感じました。もっと開き直って、思い切った打撃をすれば、良い結果につながったようにも思います。

 12回表に勝ち越し二塁打を放ったヤクルトの丸山和郁は、ヒーローインタビューでも答えていましたが、このへんの球を打とうと割り切って、思い切って打っていました。こういう図々しさは見習わないといけないですよね。

 今季はヤクルトになかなか勝てませんが、次のヤクルト戦からは、たとえば足を生かせる選手を多く起用するなど、真正面から挑むのではなく、思い切ったことを試してみてもらいたいですね。

 投手の配球もインコースを徹底して攻めるなど、これまでとは違う攻め方をしてみてもいいと思います。ヤクルトは昔からデータ、傾向を重視して戦うチームなので、インコースに来るのが何球までとか、スライダーが続くのは何球までとか、そういうことを頭に入れて、打者は打席に立っているはずです。そのデータを狂わせるようなことをやっていってほしいですね。そうすると、シーズン終盤やCSなど、大事な局面で戦うとなったときに効いてくる可能性もありますから。同じように戦い、同じように負けていては仕方ないですからね。

 最後に、秋山翔吾がカープに入団しました。ヤクルト戦の解説のために広島に向かっている新幹線の中で、ずっと秋山とLINEをしていました。仲の良い菊池涼介も、西武時代に一緒だった河田雄祐コーチもいますし、環境という部分ではすぐに馴染めると思います。ただ「広島の夏はキツい」というのは伝えました。

 若い選手たちは質問があれば遠慮せずに聞きに行ってほしいですね。コーチではないので、まずは自分のことをしないといけないというのもあります。自分から教えるということはしないと思いますが、野球に対して高い向上心を持っていて、とても真面目な選手なので、聞かれたことは何でも答えてくれるはずです。

 そして2000本安打を目指す中でも、チームのためにプレーしてくれる選手です。過去に連続試合安打が31で止まったときも、最後の打席は四球でした。個人記録のために自分勝手なプレーに走らないのが秋山なんです。一軍に合流したら、どんなプレーを見せて、チームにどんな変化をもたらしてくれるか楽しみです。