連日熱戦が続いている『第104回全国高等学校野球選手権 広島大会』。甲子園への切符をかけ、県下85校83チームが熱闘を繰り広げている。

 本連載では、広島大会注目の選手をピックアップする。今回は、名門・広島商業で主将を務める植松幹太(3年)を紹介する。春のセンバツでは新型コロナの影響で無念の出場辞退。リベンジを果たすべく、夏の甲子園を目指す植松の決意とは。

広島の名門校でチームをまとめ、2022年春のセンバツ出場も果たした植松幹太(3年)

◆名門広商野球部をまとめる主将。“集中力”をテーマに甲子園を目指す

 2021年秋の県大会で優勝を飾り、20年ぶりのセンバツ出場を果たした広島商業。新チームとなりキャプテンとして広島の名門チームをまとめるのが植松幹太(3年)だ。内野の要であるショートを守り、打撃面では主に3番を任され、攻守においてチームに欠かせない存在である。

「所作であったり礼儀であったりという面で、野球以外の部分で人間性を高めたいと思ったことと、広商で全国制覇をしたいという思いがありました」

 古豪の門を叩いたのは2020年。入学当時からコロナ禍で練習時間、試合も制限される中で高校野球生活はスタートした。

 そんな状況下でも鍛錬を積み、昨夏はショートのレギュラーとして存在感を示し、着実に力を付けていた。

「言葉で強烈にリーダーシップを発揮するタイプではないですが、さりげなくキャプテンシーがある選手です。グラウンド内でもチームを引っ張っている(荒谷忠勝監督)」

 新チームが発足したときに荒谷監督から大役を託された。これまでの野球人生でキャプテンの経験はない。

「キャプテンになることを伝えられた瞬間は不安もありましたが、とにかくやってやろうという気持ちでした」

 新チーム発足後、広島商業は秋の県大会で優勝、中国大会では準優勝。チームは結果を残し、センバツ甲子園行きを決めた。 初戦は福井県代表の丹生と対戦し、22得点の猛攻で勝利。

 「自分たちが意識していた試合の“入り”が悪かったのですが、その後の攻撃で点が取れたことは成長したところだと思います」

 植松は先制タイムリーを含む3安打3打点の活躍ぶりだった。幸先良いスタートを切り、2回戦で大阪桐蔭との一戦となるはずが、チーム内で新型コロナ感染者が複数確認され、大会途中で出場辞退に。

 「自分たちも予想をしていなかったので、言葉が出なかったです。切り替えるには少し時間が必要でしたが、夏を意識して切り替え、もう一度1からチーム作りをしていこうという話をしました」

 チームはその後『集中力』を意識しながら夏に向けて日々練習を行ってきた。

 キャプテンとして臨む最後の夏。植松にとって高校野球生活の集大成となる。

 「チーム全体が同じ方向を向いていけるように、声かけをして最後までやり通したいです。全国制覇という目標があるので、キャプテンとしてチーム全体をまとめていきたいと思います」

 春に経験したアクシデントを乗り越えて、最後の戦いに臨んでいく。