43勝44敗3分でセ・リーグ3位につけるカープ。今後の戦いに向けて。OBの笘篠賢治氏に、本拠地初安打を放ち状態を上げてきた秋山翔吾、巨人戦で2打席連続本塁打を放った長野久義などについて語ってもらった。

7月12日の一軍昇格以降、活躍を続ける長野久義。

◆カープは野球を始めた頃の原点を思い出させてくれるような球団

 セ・リーグは2位から6位まで混戦になってきました。カープは7月18日時点で借金を1まで減らしてきました。

 そんななか、7月8日の中日戦から6試合で10失策。ミスはつきものではありますが、少し目立っていますよね。四球も含めてですが、2位争いで勝ち残るためには、ミスを減らしていかないといけません。

 小園海斗は派手なプレーも魅力ですが、ショートとして、もっと堅実さも身につけていってもらいたいです。足を使おうとしているのは分かるのですが、捕球をもっと丁寧にと感じるシーンもあります。ここは練習の中で訓練していってもらいたいです。

 ただ、打つ方に関しては、修正の早さを見せてくれました。7月12日のDeNA戦では、外の球を引っ張りにいって、バットのヘッドが届いておらず打てる気配がありませんでした。しかし、翌日の試合では外の球をファールで粘って、タイムリーを打っていました。

 なぜ打てたのか、なぜ打てなかったのかというのを、試合後にしっかりと振り返ることができている証拠ですよね。一時期に比べて打率も上がってきましたし、まだまだこんなものではないはずなので、ある程度自由に打たせてもらえる今の打順であれば、最低でも2割8分は打てるような選手になってもらいたいです。

 次に秋山翔吾の話を。18打席連続無安打となかなか結果が出ずに心配でしたが、7月14日にタイムリーを打って、これで気持ち的に楽になったのか、7月15日の巨人戦で日本復帰後初本塁打を放ちました。

 日本とアメリカでは、打席でのタイミングのとり方に違いがあり、日本では投手に対して少し間を作らないといけないところに、苦労しているように感じました。バットコントロールや踏み込み方なんかは良いものを持っているので、早く感覚を取り戻してもらいたいですね。

 そして、秋山クラスの選手になっても緊張感は半端なかったようで、中日戦のときに「めちゃくちゃ緊張しました」と連絡がありました。周りからの期待も大きいですし、これだけの歓迎ムードのなか、シーズン途中からチームに加入するというのも早々ないことですからね。ただ、このマツダスタジアムの1本で緊張から解き放たれてくれたことでしょう。

 秋山にチームを引っ張っていってほしいというのは当然あるんですが、今は自分が引っ張っていくというよりも、明るいチームメートに引っ張られるというか、そこに乗っかっていくくらいで良いと思います。

 カープは野球を始めた頃の原点を思い出させてくれるような球団です。楽しんでという表現は少し違うかもしれませんが、これからもイキイキとプレーしてもらいたいです。

 あとは長野久義も一軍に戻ってきて、良い活躍を見せてくれています。7月16日には2打席連続本塁打。上本崇司が下半身のコンディション不良で抹消され、外野のポジションをどうしようかというタイミングだっただけに、長野の存在は光っています。ただ、年齢的にずっとスタメンでというのは難しいと思うので、堂林翔太と併用するなど、疲れで状態が落ちていかないように、上手くやりくりしてもらいたいですね。

 オールスター前、9連戦と移動も挟まってしんどいとは思いますが、なんとか踏ん張って前半戦を締めくくってもらいたいです。