ルヴァンカップ、天皇杯、そしてリーグ戦……連戦が続く中、上位奪取に向かって邁進するサンフレッチェ広島。

 ここではサンフレッチェ広島OB・吉田安孝氏に、2022年6月中旬からのサンフレッチェを振り返りながら、注目選手などを熱く語ってもらった。(データは全て7月7日の取材時点)

(全3回のうち第1回)

野津田の左足から放たれる豪快なシュートは、多くのファンから期待される。

◆今のチームの魅力は「誰が出場しても負けない」と感じられること!

 あっという間に梅雨も明け、いよいよ本格的な夏を迎えました。サンフレッチェはリーグ戦、ルヴァンカップ、天皇杯と連戦が続く中、これまでと変わらない非常に良い戦いを見せてくれています。

 特に注目したいのは、6月18日のC大阪戦(○2ー1)です。サンフレッチェもC大阪も非常に良いプレーを展開し、サッカーファンであれば、誰もが「おもしろい!」と感じる見応えある試合だったのではないでしょうか。この試合で1点目を決めた野津田岳人のシュートも見事でしたね。

 5月28日の名古屋戦で決めたFKも美しいゴールでしたが、C大阪戦のシュートもすばらしかったです。

 ファンも野津田の左足から放たれる豪快なシュートを期待していますし、本人も自分の持ち味は左足のシュートだと感じているはずです。ここまでは意識しすぎて力みにつながりミートできないシーンも何度か見られましたが、名古屋戦で1点を挙げて気持ちが楽になったのだと思います。C大阪戦でのシュートは、無回転に近い、「これぞ野津田岳人」を感じさせるゴールでした。

 そしてこの試合は、ドウグラス・ヴィエイラの今季初出場試合でもありました。ケガで苦しい経験をしてきたはずですが、すばらしい試合の中で決勝ゴールを挙げられたことは、本人にとってもチームにとっても非常に大きな1点だったといえるでしょう。

 苦労を重ねてようやく復帰できただけに、6月29日のG大阪戦で再び負傷してしまったことは残念でなりません。監督もコメントしていましたが、試合に負けたこと以上に、ドウグラスが負傷してしまったことのほうが大きな痛手になったのではないでしょうか。苦労して復活した選手がまたケガをする……なんともやるせないですよね。

 ただ、そこまで大きなケガではなさそうだということは不幸中の幸いでした。再び復活してゴールを決めてくれることを、心から待ちたいと思います。

 出場機会を増やしている松本泰志も、持ち味の運動量を活かして求められた役割にしっかり応えています。「誰が出場しても負けない」と期待を感じられるのも、今のチームの魅力の一つといえるでしょう。

 アウェーで首位に挑んだ7月6日の横浜FM戦も、内容としては互角の戦いだったのではないかと思います。3ー0で敗れてしまいましたが、わずかなきっかけさえあれば、このスコアが逆になっていてもおかしくありませんでした。ギリギリのせめぎ合いの中、ほんの数ミリの差を制する横浜FMの強さがわずかに勝ったという印象でした。

 ただ、この結果に下を向く必要はまったくありません。次からのチャレンジにつながる、本当に良い試合だったと思います。

《第2回に続く》