◆J1制覇を目指すための2年目キャンプ

─ キャンプ中の試合で結果が出ないこと(キャンプ中の練習試合は1勝4敗1分)も予想の範囲内だった、と。
「そうですね。宮崎キャンプの中盤のあたりは1日2回の練習で相当追い込みながら試合をやっていましたから。試合が終わって、さらに練習で追い込んでまた試合をやって、そして次の日も試合。さすがに今日がピークだろうと思っていたらまた…。その繰り返しを5日間くらいやりました。キャンプで追い込む過程が一年間戦っていく上でポイントになると思っていましたから。昨年一年戦ってきて最も厳しかったのは、やはり夏場でした。サンフレッチェは移動も多いですからね。ですからそのあたりのことを想定してキャンプをやってみよう、と。夏場に苦しい時が来ても、ここまで練習してきたじゃないか、というのを心のどこかに植え込みたかったんです。僕らの目標はあくまでJ1制覇。そこを目指すための2年目のキャンプ、という位置付けですので結果が伴わなくても全く心配していません」

─ ここまでは順調にきている、と。
「はい。順調にきています。順調というのは、あくまでも3年計画の中でのステップとしてです。では今から順調に勝ち星を積み重ねていけるのか、と言うこととはまた意味が違います。ファーストステージでは苦しむ事もあると思います。しかしそこで殻を破っていこうとする力をつけていっていますから。そのことがセカンドステージ、さらには3年目につながっていくと思います。非常に手応えは感じていますね」

─ 先月号のインタビューで下田崇選手が盛んに『自分達のサッカー』ということを言っておられましたが、監督の目指しているサッカーについてお聞かせ下さい。
「ゴールをしっかり守ることがディフェンスだと思われる方が多いのですが、私は自ら相手のボールを奪いにいく事もディフェンスだと思っています。その考え方でディフェンスのやり方自体も全く違ってきますからね。同時にそこが攻撃的なサッカーかそうじゃないかの境目だと思います。もちろん相手のボールを奪いにいけばいくほどリスクが生じます。カウンターを食らっての失点もあるでしょう。しかしそれでもやり遂げる。自分達がリスクを犯してでもボールを奪って、相手のゴールネットにボールを沈めるんだ、と。奪ったボールはどんどん相手ゴールの方に進めていく。ディフェンスだから後ろというのではなく、ポジションレスで最適な選手がどんどん飛び出してゴールを目指す。そのときに生じるリスクはみんなでカバーしていく。そういった全員のサッカーにしていきたいですね」

─ 目標とするサッカーを実現するためのシステムなどもお考えですか。
「選手の配置というのは、私ははっきり言ってどうでもいいと思っています。非常にレベルの低いところの話ですね。逆にどうやってボールを奪うのか、というコンセプトの話はとてもレベルが高い。それが下田の言う『自分達のサッカー』につながると思います。自分達のサッカーは、と聞かれて3バックです、とか、3-5-2です、なんていう選手はうちにはいないと思いますよ。システムは最後にあてはめればいいものです。コンセプトを実現するために11人の力が一番発揮しやすいような形を、試合前日にでも考えればそれでいいと思っています」