プロ野球は前半戦を終え、セ・リーグはヤクルトが独走する形で首位をキープしている。開幕ダッシュに成功したカープは交流戦で苦戦。しかし粘りの戦いを展開し、46勝46敗3分、勝率5割で前半戦を終えた。

 ここでは、カープOBの大野豊氏に聞いた前半戦終盤のカープ投手陣の印象をお届けする。(取材は7月上旬。数字は全て7月12日現在のもの)

セットアッパーとして力投を続ける森浦大輔

 前編はこちら。

◆リリーフの踏ん張りに期待! 勝ち星を引き寄せる投球を

 私は現役時代、キャンプでの厳しい練習の中で、気持ちの強さも身につけてきました。「これだけ練習したんだ」「これだけやったんだ」と思うことが、気持ちを強く持つための原点でした。まずはキャンプを通して、自信を持って投げられるフォームを見つけることが重要です。

 同時に、調子の悪い時にどんなフォームになってしまっているかを理解して、試合中に出さないように気をつけることも大切です。

 「今日は思った通りに投げられていないな」と感じた時こそ、どう考えるかを意識するようにしていました。思い通りにコントロールできない時の投球術をどうするか。そのためには、投球パターンの引き出しをたくさん持っておくことも必要です。その時々に応じて工夫をしながら投げることを意識すると良いでしょう。

 7月3日の巨人戦では、森浦大輔、矢崎拓也、ケムナ誠、ターリーといった勝ちパターンがことごとく失点してしまいました。こうした試合こそ、彼らリリーフ投手の踏ん張りで勝ったと言えるような投球をしてもらいたいです。

 厳しい場面で勝つ経験を重ねることで、自信もついて、さらに良い投球ができるという良いサイクルに入っていけます。いずれの選手も、ここまで良い投球をしてきているのですから、この敗戦で自信をなくすのではなく、苦い経験、悔しい経験を活かして殻を破っていってもらいたいです。

 失敗は、自分を見直すチャンスでもあります。

 失敗を失敗で終わらせるのではなく、次につなげて、自分自身が成長するきっかけにしてほしいですね。

 6月には、秋山翔吾の入団が決まりました。秋山が一軍で活躍し、西川龍馬が復帰してくれば、打線も変わり、ベンチの層も厚くなるはずです。打線への期待もありますが、まずは投手陣が頑張らなければいけません。

 これからまだまだ暑くなります。後半戦に向けて、野手陣にばかり頼るのではなく、投手陣も粘り強く投げ切って、1試合でも多く勝ち星を積み上げられるように期待したいと思います。