交流戦では苦戦したものの、Aクラス入りをかけて奮闘を続けたカープ。リーグ順位は2位、勝率は5割という成績で前半戦を終えた。

 マクブルーム、坂倉将吾ら打線の調子も上向いてきた中、6月には秋山翔吾の電撃加入も発表され、後半戦に向け期待も高まっている。果たして、ヒットメーカー・秋山の入団は、どのような相乗効果をもたらすのか?

 ここではプロ野球解説者の笘篠賢治氏が独自の目線でカープ野手陣を解説する。(数字は全て7月12日現在)

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7月8日には一軍登録、23・24日のヤクルト戦では2試合連続本塁打を放った秋山翔吾

◆日本球界復帰の秋山翔吾がもたらす相乗効果

 まず、6月に電撃加入となった秋山翔吾について触れていきます。日本球界への復帰を決め、カープ・西武・ソフトバンクが競合する中でカープへの入団を決めました。秋山自身の年齢も含め、将来的なことを考えての決断だと思います。入団会見で言っていたように、球団から“2000安打”という言葉が出たことが、秋山の心に響いたのでしょう。

 また、彼は向上心のある選手なので、常に挑戦、勉強する意欲があります。初めて挑むことになる“セ・リーグ”という舞台で、新たな気持ちで頑張ってもらいたいと思います。

 そして、秋山が入ることにより打順も固まってくることが予想されます。ポジションは、慣れ親しんでいるセンターも含めて、さまざまな布陣が考えられるでしょう。

 西武時代は1番・センターが多かったですが、現在は西川龍馬が離脱中ですから、『3番・秋山』でも良いのではないかと思います。やはり1番は、野間峻祥に頑張ってほしいと個人的には感じています。

 たとえば『1番・野間』『2番・菊池涼介』『3番・秋山』『4番・マクブルーム』『5番・坂倉』『6番・會澤翼』『7番・小園海斗』『8番・上本』と並べることにより、左右のジグザグ打線を組むこともできます。そうすることで、相手チームとしても投手起用が難しくなり、その打順がハマったときには相手バッテリーからしても大変苦戦する打線になるのではないかと思います。

 また、秋山は人間的にも大変優れている選手ですので、特に若い左打者は、生きた教科書として秋山の打席や守備の中から学ぶ部分がたくさんあると思います。西武時代も『1番・秋山』『2番・源田壮亮』という打順で、源田は秋山という生きた教科書からたくさんのことを学んでいたと思います。

 特に若手選手は目の前で、秋山の打撃を見て、どういう考えのもと、どういう方向性で打撃をしているのかなどを一番近くで見ることができます。また守備に対する考えなども、相当勉強になるところがあるのではないでしょうか。

 西川の復帰がいつになるかは分かりませんが、復帰すれば、後半戦を戦う上でさらにプラスの材料になるでしょう。秋山の加入により、控えの層もそれだけ厚くなるということですから、前半戦に比べても、カープのチーム能力は上がってきていると思います。

 また、若手・中堅・ベテランが競い争う中で、堂林翔太や松山竜平も状態を上げてきています。

 どの選手も、呼ばれた時にしっかりと結果を残せるよう準備をしておくことが重要です。そして受け身にならず、挑戦者という気持ちをもって、攻撃的に、チーム一丸となり戦い抜いてほしいですね。

 いよいよペナントレースも後半戦がスタートします。後半戦は、他球団も死に物狂いで挑んでくることが予想されます。ここから優勝争いに食い込んでいくためにも、選手たちの攻撃的な戦いを期待しています。