交流戦では苦戦したもののリーグ順位は2位、勝率5割という成績で前半戦を終えたカープ。マクブルーム、坂倉将吾ら打線の調子も上向いてきた中、6月には秋山翔吾の電撃加入も発表され、後半戦に向け期待も高まっている。

 ここではカープOB・笘篠氏が独自の目線で前半戦終盤のカープ野手陣について語る。(数字は全て7月12日現在)

前半戦、攻守に存在感を見せた上本崇司

◆内野出身の選手が魅せる、外野でのスーパープレー

 交流戦が明け、ヤクルトには苦戦しているものの、阪神に2勝1分(6月21日〜23日)・DeNAに3連勝(6月24日〜26日)、巨人に2勝1敗(7月1日〜3日)と勝利を重ねてきました。その戦いの中で、打線にも活気が戻ってきています。

 まず注目したいのが、4番のマクブルームです。徐々に速球を打ち返すシーンも増えてきており、序盤とは違った怖さも出てきているように感じます。また彼は四球を選ぶこともできる打者なので、打線がつながり、好調を維持する5番・坂倉将吾に良い形でつなぐこともできています。そのあたりの怖さや、つなぎの意識は、開幕当初よりも増してきているのではないかと感じています。

 また、21試合連続安打(6月9日〜7月7日)を記録した坂倉ですが、6月はノーヒットの試合がわずか1試合のみ(8日、楽天戦)です。ただ、やはり人間ですので、“数字”を意識してしまうと、なかな本領が発揮できなくなる場合もあります。惜しくも連続安打記録は途切れてしまいましたが、依然好調はキープできているだけに、変に結果を意識をせずに自らのスイング、打撃をすることで、さらに結果がついてくれば良いですね。

 そして、以前も注目選手として挙げた上本崇司ですが、7月に入っても良い打撃が続いていました。規定打席には届いていないものの、打率も3割をキープしています。

 ただ、真面目な性格のせいか、チャンスの場面で開き直れていない部分があるようにも感じます。当てにいくような打撃に見えたシーンもあったので、自らが練習してきたことを信じ、結果が残っているということに自信を持ち、恐れずに振りにいってほしいです。

 上本自身、『つなごう』という意識を持って普段から打撃に臨んでいると思いますが、チャンスの時には『美味しいところで回ってきた』くらいの気持ちで打席に立ってほしいです。 守備では外野を守る機会が増えていますが、抜ければ長打となる打球をスーパーキャッチするなど素晴らしい活躍を続けています。あのようなスーパープレーは、投手にとっても失点が帳消しになるくらいの価値があるプレーです。

 羽月隆太郎も外野で良い守備を見せていますが、上本、羽月の2人に共通するのは、もともと内野手であるということです。

 内野手は打者から近い距離を守っているため、外野手に比べて、早いタイミングで一歩目を動き出さなくてはいけません。そういう面でも、現在外野を守る2人は反応が早く、内野出身の選手らしい良さが出ているのではないかと思います。

《後編へ続く》