7月29日からプロ野球ペナントレースは後半戦がスタートした。セ・リーグに目を向けると、ヤクルトが首位を独走中。前半戦を5割で終えたカープは上位死守に向け、負けられない戦いが続いていく。

 ここでは一軍を目指して日々二軍で奮闘するカープの若手選手の今に迫る。今回は2019年以来の一軍登板を目指す5年目右腕、山口翔の言葉をお届けする。(データは全て7月上旬取材時点のもの)

3年ぶりの一軍マウンドを目指す山口翔

◆一番の課題はメンタル面

─ここまで、ご自身の投球を振り返ってどのような印象ですか?

「正直言って今はイメージ通りに投げることができていません。その中で一番の課題はメンタル面だと思っています。うまく投げられないことが続き悪循環に陥り、一時期は苦しい状態が続いていました。ただ、少しずつ良くなってきている感覚はあります」

─メンタルの改善に向けてどんなことを意識していますか?

「練習で“これだ”というものを見つけて、それが自信に変わればマウンドに上がっても気持ちがブレることはないと思います。その積み重ねを心がけています」

─マウンドでの気持ちのコントロールで大切にしていることは?

「“打てるもんなら打ってみろ”の強い気持ちを持ち、練習でやっていることを発揮できるよう心がけています。自分と戦ってしまうことが多かったのですが、最近はようやく打者と向き合えるようになりました。一番良いときの球と比べるとまだまだですが、良くなると信じてコツコツやっていきます」

─夏の甲子園の時期です。山口投手の熊本工高での思い出を教えてください。

「めちゃくちゃ走った3年間でした。中でも印象的なのは20キロ弱の丸太を持って走る練習メニューですね。僕らの代から始まった練習で3年間やっていました。全身の体幹と下半身を鍛えることができるので、もう一度やってみたいという思いもあります。入学時は下手くそでしたが、毎日一生懸命コツコツやっていたら、できることが少しずつ増えていきました。練習をやればやるほど結果もついてくると教わった時間でもありました」

─高校時代、印象に残っている試合はありますか?

「2年生の夏、秀岳館高との準々決勝です。エースとして投げさせてもらいながら、サヨナラ死球で先輩たちの夏を終わらせてしまったのがとにかく悔しかったです。“先輩たちと一緒に甲子園へ”の思いを込めて投げた球が抜けてしまい……。あの瞬間の悔しさはそれまで感じたことがないものでしたし、あの敗戦から勝ちにこだわって練習するようになりました」

─負けて知ることもあったというわけですね。

「そうですね。3年夏までの1年間で成長できたのは、その悔しさのおかげだと思っています」

■山口翔 やまぐち・しょう/1999年4月28日生(23歳) /181cm/86kg/右投右打/投手/熊本県出身
熊本工高-広島(2017年ドラフト2位)