お笑い芸人として活躍中のザ・ギース尾関高文氏の本連載。これまでカープに在籍した歴代外国人選手を、時には厳しく、時には優しく、時にはユーモアを交えながら、尾関氏ならではの視点で紹介していきます。今回は、2010年にカープに在籍したジェフ・フィオレンティーノ選手を取り上げます。

2010年にカープに加入したジェフ・フィオレンティーノ

◆心に焼き付いている“ロングティーのフィオ”

 ジェフ・フィオレンティーノと聞いてピンとくる人は少ないかもしれません。カープファンには「フィオ」という愛称の方が馴染みがあるでしょうか。

 カープ暗黒期と呼ばれる2000年代、毎年幾人もの助っ人がやってきてはすぐに姿を消しました。その中には成績はパッとしなかったけれども、やけに思い出に残っている選手もいます。このフィオもそんな助っ人の一人でした。

 フィオがカープにやってきたのは2010年。梵・廣瀬・栗原・天谷選手と言ったみなさまがなんとかカープを支え、投げてはマエケン選手が孤軍奮闘するという常にどんよりとした雰囲気の時代でした。(どんよりはどんよりで楽しかったのですが)

 そんな中選球眼の良さを買われ、「打線に火をつける助っ人を」ということでヒューバーと共にカープの一員となったフィオ。ホームランが出ないカープにおいて出塁率の高い助っ人がなぜきたのか不思議ではありましたが、ひと目見て私はフィオが好きになりました。

 助っ人というと強面の人がほとんどですが、フィオは正反対。クラスの仲のいい友達感満載の助っ人でした。愛嬌のある顔に、常に笑顔でチームメイトとおしゃべりをする素晴らしいムードメーカーだったのです。ちなみにジェフ・フィオレンティーノという長すぎる名前は、日本に来た助っ人外国人の中で1番文字数が多い記録でもあります。

 しかしそんなムードをメークするだけでは許されないのが助っ人の世界。出塁率こそ良かったものの、パンチ力のない打撃では外野で生き残ることはできませんでした。6月頭に1軍登録を外されると、そのままカープとの契約を終えることになります。

 プレイではこれという思い出はありませんが、以前、元カープの喜田剛さんが「ずっとロングティーをさせられているのがフィオの思い出だ」とおっしゃってるのを聞いて、その情報だけが心に焼き付いています。「ロングティーのフィオ」、これだけ聞くとカッコ良い感じもします。

 その後アスレチックスのマイナーから独立リーグへと職場を変え、そのまま引退したフィオ。現在のフィオを調べてみるとTwitterにて近況を知ることができました。

 なんと現在はフロリダのチポラ大学の野球コーチをされているフィオ。このようにコーチの立場で野球に関わっているというのはとても嬉しい情報です。

 そして驚くべきはフィオのお子さん。おそらくまだ10歳も行っていないと思うのですが、ゴルフの腕前が凄すぎるのです。現在Twitterに1番投稿しているのは子どものナイスショットばかり。特にカップにボールを寄せる技術は圧巻。父親譲りの身体能力で将来はとてつもないゴルファーになる可能性があります。ぜひ見て頂きたい。

 というわけで現在は家族で幸せに暮らすフィオ。いつの日かえらく長い名前の、それでいて人懐っこい笑顔のゴルファーが世界で活躍する日が来ることでしょう。

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ザ・ギース 尾関高文(おぜきたかふみ)
広島県東広島市西条町出身のお笑い芸人、熱狂的なカープファン。好きな歴代カープ選手はロビンソン・チェコ投手。 2012年に出演したアメトーーク「広島カープ芸人」で、「カープ OB の北別府さんはブログのコメントに全て返信する」と語り、北別府氏のブログを炎上させた経験を持つ。

[尾関高文公式Twitter]@geeseojeck